『その年、私たちは』16話(最終回)のあらすじと感想を書きます。
*ネタバレあり
15話のあらすじは以下でまとめています。
第16話 その年、私たちは
ウンのモノローグと回想
”感情をられるしたような絵は、殻に閉じこもった子供の落書きに過ぎない”
有名な評論家の酷評
”哀れな人生だな” ヌアから浴びせられた辛辣な言葉
本質をついている、ウンは思う。
『何もせず穏やかに暮らしたい、絵は趣味で描いて、のんびりと過ごすのが夢』
と若い時から思っていた。
ヌアに盗作された時も、それに向き合わず、「描き直す」とあっさり引いた。
海外に絵の留学を勧められた時も「チャンスは別の生徒に」と辞退。
インタビューで、
「絵に込める想いとか、画家としての生き方とか、今後の計画は?」との質問にも
「特に何も」と答えた。
僕の人生はいつもこうでした、とウン。
子供の時から「お金の心配をせずに何でもできる、うらやましいわ」と言われ、
両親からは、何も心配せずやりたいことをやりなさい、と言われた。
時には何もしないことが最善の選択だから
他人の人生を借りて生きるときは、
欲を出してはいけません
僕もこの完璧な家族に 似合う息子になりたかったから
捨てられた子ではなく
何もしなければ バレることもありません
僕は幸せになる資格がない人間だから
無知なフリや 興味のないフリをしてました
でも結局こうなりました
つまり 何もない人生に
閉じ込められてしまった
最悪な人間になったんです
”建築学科 入学案内” のパンフレットをヨンスに渡し、
「前からずっと考えていた、君と一緒に行きたい。
君は僕の人生を情けないと思っていただろう。だから、初めからやり直したい。
一緒に来て僕のそばにいてほしい。僕は今、ボロボロなんだ」とウンは言った。
「考えてみる。時間がほしい。何かをやりたいと言うのは初めてだわ。
それに情けないとも思ってない」とヨンスは言った。
ヨンスは、なんと、クライアントだったチャン・チーム長から
「一緒にパリの本社に行こう。新しいチームを作るのにククさんが適任かと」と誘われた。
会社のパク代表は
「チャン・チーム長から話は聞いた。余計なことを考えずに このチャンスをつかめ。
今回は自分のことだけを考えるんだ」とヨンスにアドバイスした。
ウノはソリの店で「解雇だなんて、僕はウンさんがいないとダメなんだ、、」と酔い潰れていた。
その時、スマホに”お知らせ” が。
「退職金、、、、大金が振り込まれた」驚き、泣きじゃくるウノだった。
ウンのアトリエ、売れた絵が運び出されていた。
NJが訪ねてきていた。
「なぜ、コオさんの絵が好きだと?
見ててわかったんです、なぜ絵に癒されたのか
曲がりくねった線を見ると
”私と同じように不安でたまらないのかな”
変わらないものへのこだわりは
”私みたいに寂しい人のか”と
でも完成した作品を見ると
とても温かくて 安定してるの
まるで誰よりも内面が強い人かのように
だから癒されるんです
私も強くなれる気がして
これがコオさんの絵に対する私の批評です
変な人の酷評は聞く必要ない」
「ありがとう、その言葉に癒されます」とウンはお礼を言った。
NJは帰り際に「留学生活は寂しいわ」と。
「ヨンスと行く予定です」と答えるウンに
「ヨンスさんの愛は、本物なんですね。自分の人生よりコオさんと共にいることを選んだ。簡単にはできない」とNJは言って帰った。
そのことばに、何かを思うウン。
ヨンスはおばあさんと一緒に、路地を歩いて家への帰り道、
「やりたいことをやりなさい。お願いしてるの」とおばあさんは言った。
夜、ウンとヨンスは、それぞれ物思いにふけっていた。
ウンは、ヨンスとNJの言葉を思い出し、
ヨンスは、代表とおばあさんの言葉を思い出していた。
パクPDがジウンを呼び出していた。
PDは、ジウンにお母さんのドキュメンタリーを撮るように言った。
「なぜ? 理解不能です。子供に関心のない母親が死ぬということも、
あの人のために、なぜ撮影すべきか」とジウン。
「自分のために撮れ。死んだ人を思いながら生きるのは残された人だから。
ジウン、遺影に使う写真はあるのか?憎むのも許すのも後でいい。
今という大事な瞬間を無駄にしないでほしい」パクPDは言った。
ジウンは、じっと聞いていた。
朝、ウンとヨンスは、後で、ソリの店で会う約束をした。
ヨンスは会社に行って、代表に、自分の出した結論を伝えた。
「分かったよ。それが君の選択なら」と代表は言い、ヨンスが部屋を出たあと大きく息を吐いた。
ウンは、両親の店でご飯を食べていた。
母のヨンオクが、前に座って、息子がご飯を食べるのを眺めていた。
「あぁー、ここの店長夫婦は、ゆっくり食べさせてくれない」わざと言うウンに
「このお客さんはあまり顔を見せないから、何の用かしら?」と母。
「母さんのご飯が食べたくて」とウンがいうと、母はご飯におかずを乗せてあげた。
「つらい時ほどしっかり食べなさい。母さんにはお見通しよ」と言いながら、じっとウンを見て
「いつの間に大きくなったの?」
見つめ合う、ウンと母。
「知ってたんだね、僕が知ってると」
「もちろん知ってたわ」
「何か変わらなかった?」
「何も変わらなかったわ。誰に何と言われても私たちの息子よ。
息子だと思わない日はただの一度もなかった。息子になって元気に成長してくれて本当にありがとう」
「僕は、母さんたちに似ないことを恐れてた。
2人のようにいい人になれない。
僕は2人から失望されることが一番怖かった」と言って泣くウン。
お母さんも涙を流しながら
「それは困ったわ。私たちは一度も失望したことがない。
あなたを抱いた瞬間から今までーーー全てを愛してた」
二人とも涙を流して、うなずき、泣きながら笑いあった。
「母さん、これからはちゃんとした人間になりたい」とウンが言った。
「何も心配せず、ぐっすり眠れるようになってほしい」と母は言った。
NJが、ウンが描いたお店の前で、最後のビデオを撮っていた。
ヨンスは、ソリの店でウンを待っていた。外は寒い。
ウンが来た。彼のために、温めていた両手でウンの手を取った。
「心を決めた?」とのウンの問いに「うん」とヨンスは答えた。
ヨンスが家に戻ると、おばあさんが居間で寝ていた。
ヨンスは、その布団に後ろから入った。
「おばあちゃん、もう1人で耐えなくていい、周りの人たちと楽しく生きろって、言ってたよね。
だから、今度は思いどおりに生きる。
でも、思い返すと、周りの人と楽しく生きてた。
ずっと独りだと思ってたけど、決してそうじゃなかった」
学生時代は、いつもソリが側にいてくれた。
今の会社の代表が、起業する時に、契約金を用意して「人生で一番の投資を君にしてるんだ」と卒業前のヨンスを誘ってくれた。
最初は、代表と2人で始めた会社が、段々と大きくなりスタッフが増えていた。
「つまらない人生と思ってたら、幸せな瞬間が確かにあった。人生を惨めにしてたのは、私自身だった、バカね」
と言って、おばあさんの背中に手を置いて目を閉じた。
(ヨンスとおばあさんが並んで横を向いて眠る映像が、本当に美しいです)
ソリの店。
ヨンスはウンに「行かない」と言った。
「自分の人生をやっと好きになり始めた。だから今の生き方を続けたい。これが望んでた人生なんだと思う」と。
ウンは静かに何度もうなずいた。
「君にふさわしい人間になるには どれくらいかかるかと 考えていた
君は本当にカッコいい人間なのに 僕は時間を無駄にしてきた
でもやっと 何をすべきか分かったんだ
僕は何がしたいのか 何を望んでいるのか
そして僕は何者か、だから僕は、、」
「大丈夫よ、行ってきて。私たちは別れない」
ヨンスは、ウンの手を取って、彼の目を見て言った。
「すぐ戻るよ、僕らは変わらない、待っててくれ」とウン。
うなずくヨンス。
ジウンは、入院中の母の病室のドアを開けて、ドアの前で止まった。
母が振り向き「こっちに来なさい」と言ったが、
「これが僕らの距離感だ。今更何のつもりだ」とジウン。
「このまま死にたくない。生きた証を残さず死んでしまうのは悔しいわ」と母。
「最後まで自分勝手な人だ」とジウン。
「死ぬまで私は最低な母親よ。だからあなたも、哀れな人間だと思いながら、時々顔を見せてくれればいい」
ジウンは少し近寄り
「全く理解できない。だったらなぜ今 会いに来る。子供を放って生きるなら、会いに来るな」
と苦しそうに言った。
「あの頃は自分のことで精一杯で仕方なかった 。一緒にいたら、私の不幸をあなたに背負わせると思って、怖かった。だからあなたを抱きしめられなかった」と涙を流す母。
「母さんを許さない、いや許せない。自分がつらいからと子供を放置すべきじゃない、僕はまだ幼かったんだ。今更僕のところに来て”死ぬ”だって?僕は母さんを許さない、絶対にね」 と言ってジウンは泣いた。
「それでいい」と母も泣いた。
「でも、僕の気持ちが、、、変わるかもしれない、だから 生きてほしい。僕も母さんも 人生をやり直さないと、他の人たちのように 平凡に生きよう」
とジウンは続けた。
ジウンの言葉に、泣く母、、。
〔ウンのモノローグ〕
- 両親にも、今月末に立つんだと、と留学の話をしたら、意外にも父がすねて、しばらくウンを無視。
- ジウンは、忙しそう。パクPDに、母親の病室で撮影されていた。
- NJさんはまたやらかしました。ファンに明るい姿を見せようと無理してたようです。 引退を悩んだこと、うつ病を告白し、「互いに支え合いたい」と30分間の映像をノーカットで公開した。バッシングもありながら、たくさんの応援を受けた。
- ヨンスとは、最高の時間を過ごした。毎日、ヨンスと常に一緒、完璧でした。
気づけば、出発の日
ウンは、新たな人生のために、付きまとっていた過去と向き合った。
”これ以上、傷つく必要も、避ける必要も、謝る必要もない、もう十分だから、互いの人生を生きよう”
心で言い、工事現場で働く実の父と遠くから対面して、その場を去って出発した。
ウンが旅立った後
ヨンスは「大人の恋愛を目指しているから、私は平気です」言いながら、実は、毎日、ソリの店で泣いて暴れていた(笑)
ヨンスの会社では、いつも通り、代表がスタッフたちから浮いていた。
(でも、代表のような人が良い上司なんだと思う。普段は、仕事を部下に任せ、細かいことを言わず、でも、ここぞというと重要な局面では、的確な決断を下すことができる。スタッフも増えているし、会社が順調な証拠)
ヨンスはやるべきことをやっていた、すると、あっという間に時間は過ぎた。
でも、丸1日、ウンから連絡がない日
やっと掛かってきたきた電話に、速攻で出るヨンス。
長距離恋愛に不安になり、こまごまと文句を言いながら
「ウンに会いたいなぁ、、、なぜ何も言わないの?」とヨンス。
「ヨンス、君に言えなかったことがある」
「何?」
「 」
「今 何と? 聞こえなかった もう一度 言って」
「愛してる」
「(沈黙)
それを言うのに時間がかかりすぎよ。ウンのバカ、そのセリフは 顔を見て言わないと」
「分かった 後ろを向いて」
ヨンスが振り向くと
ウンがヨンスに向かってゆっくり歩いてきた
「ウン」と言って涙ぐむヨンス
「ヨンス、愛している」
ヨンスの涙を手を拭いて、
「今 言うべきだと思った」
ヨンスを抱きしめた
「早く戻ってきて。早期卒業する意気込みで頑張ってよ」とヨンス
ヨンスにキスをするウン。
約束どおり、ウンは早く戻ってきた。
2年後
ウノは、ソリの店に来て、早く行こうと誘った。
ジウンは、チェランと車で向かっていた。
チェランは、ウンの両親の長年の寄付をすごいと感嘆し、ヨンスも来るのか、失恋相手に会うのは平気か?とジウンにスバっと聞いた後で、
「傷が癒えてそうなので言いますが、先輩が好きです」と告白。
驚きながら、ジウンは微笑んだ。
音楽の図書館 ”ウンと共にする本の寄付” イベント会場
父のホが、ジウンのインタビューに答えたり、母がお弁当を並べたりと忙しそう。
ウンが来た、よく眠れているようだ。
ヨンスも現れた。
二人は2階の1角で、向かい合わせで、本を並べていた。
本を並べるフリをして、ウンが1冊の本をとって、何かしながら、
「こうしていると高校時代を思い出さないか?」と言った。
「昔すぎない?」とヨンス。
「いや 昨日のことのように鮮明に思い出す。初めて会った時から僕を好きだったろ?」
「また都合のいいように記憶してる。あなたこそ私に一目ぼれを?」
「いつ初めて会ったっけ?撮影の初日」とウン
「わざと思い出せないフリをしてる」と言いながら、ウンが本を並べていないことに気づくヨンス。
立ち上がって、ウンの方に行くと絵を描いていた。
「やぁ、なぜ絵を描くの?」と本を取り上げた。
本は『初夏が好き』
「何の絵を?」とヨンスが開くと、
高校の入学式の時のヨンスの姿が描かれていた。
後ろで無造作に髪をゴムでまとめて、ウンを見ているヨンス、初めて会った時
〔ウンのモノローグ〕
”誰にでも 忘れられない誰かがいるとか
思い出だけで何年も 生きていけるほど大切な人が
僕らにとって その年は、、、まだ終わってません”
「ヨンス、僕たち結婚しよう」ウンが言った。
エピローグ
ウンとヨンスは、仲良く庭仕事をしている。
そこに、ジウンがやってきて
「撮影するぞ。結婚したせいで、世間で話題になってる」と言った。
「私たちに私生活はないのか?」と反発する二人だったが、、。
ウンのアトリエのソファに座り、
「こんにちは、
チェ・ウンです
クク・ヨンスです
私たちは夫婦です」
二人はにっこり笑って、手を振った。
感 想
何も言うことがない、最高の最終回でした。
最初のウンのモノローグ、ウンはこれまでの苦しみを吐露した。
酷評が本質だと受け止め、ボロボロだと、ヨンスに打ち明けることもできた。
NJのウンの作品に対する言葉に、ウンは本当に慰められたことでしょう。
ウンの作品に癒され、勇気をもらっていたNJ、彼女も真っ直ぐに生きている人でした。
ウンが両親の店でご飯を食べながらお母さんと話す場面、
二人の俳優さん、演技ではなく泣いていますよね。本当に胸を打たれる場面でした。
ジウンを説得するパクPDの情のあることば、
母親に初めてつらかった胸の内を話すことができ、それでも、生きてほしい と言ったジウン、
それぞれ、心に残る良い場面でした。
ヨンスも、仕方なく生きている人生だと思っていたけど、一人ではなかったし、幸せな瞬間があったことに気がつき、この人生を生きたいと思った。
ウンが留学して、離れても大丈夫だと、二人とも確信があった。
ウンが「愛してる」という場面もほんとに素敵だった。
ヨンスは、その言葉をずっと待っていたけれど、
ウンは、ヨンスにふさわしい人になるまで言えないと思ってたから、、
「今、言うべきだと思った」、ヨンスにふさわしい人になれたと思ったのですね。
ウンが、両親が寄付した本に描いたヨンス、、ヨンスそのものでした。
瑞々しい、青春の、でもみんな何か欠けたものを抱えながら、懸命に生きていた、、
そんな時代をすくいとった脚本と、その世界を見事に演じた素晴らしい俳優さんたち
余韻の残る、いつまでもその世界に浸っていたいと思うドラマでした。
このドラマを作ってくださった全ての人々に感謝します。
お読みいただきありがとうございました。
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