『その年、私たちは』15話のあらすじと感想を書きます。
*ネタバレあり
14話のあらすじは以下でまとめています。
第15話 3人の愚か者
〔ジウンのモノローグと回想〕
”人生は1つの芸術作品だ。かけらが揃わないと完成しない”
まだ幼い頃のジウン。眠いのをがまんして、1人でテレビを見ながら母の帰りを待っていた。
ドアが開く音で、戻ってきた母に走っていくジウン、しかし「なぜ起きてるの」と冷たく言い放つ母。
一緒の布団で寝ても、ジウンに背を向ける母。
”俺の人生が未完成なのは、かけらが1つ欠けているから。みんな持っているのに、なぜ俺だけ持っていないのか”
幼い頃から常に1人だった。思春期になった頃にはそれにも慣れていた。
ある日、昼間からお酒を飲んでいる母に聞いてみた。
「僕がいなかったら、1人で生きていける?なぜこんな関係に」と。
「あなたがいたから、こんなことになった。私1人だったら、こんなに惨めじゃなかったはず」と母は言った。
その時、俺は不必要はかけらだと気づいた。
俺の願いは、彼女には耐えがたいものだった。
だから、そのかけらを求めるのはやめました。
ウンは美術館の帰り、ヨンスへのプレゼントを買った。
ウンは、家のソファで寝ているヨンスに近づき、
「猫に鈴をつけるんだ」とヨンスの首にネックレスをつけた。
「ありがとう」と素直に喜ぶヨンスに
「ピアスもある、着けてみて」とお揃いのピアスを出した。
喜んでウンに抱きつくヨンスは、
「今日は、1日中家でゆっくりしよう」と言った。
二人でゆっくり過ごした。
シャワーを終えたヨンスは、ウンに髪を乾かしてもらった。
「穏やかだわ、こんな時、何を思う?」とヨンス。
「幸せだなと思う」とウン。
「あまりに幸せだと不安になる。また私がすべてを台なしにしそうで」と言うヨンスに
「そんなことない 心配するな」と落ち着いて言うウン、そして
「ヨンス、、」と何か言いかけて、「やっぱり今度な」とやめた。
〔最終話を見たら、何を言おうとしたのかわかりました。でも今じゃない、とウンは思ったのでしょう。〕
ジウンは、編集室にこもりっきり。ドアの外で、チェランが心配していた。
そこに、放送作家がやってきた。
「家にも帰らず、今まで一番深刻です」というチェランを、彼女はコーヒーに誘った。
「パクPDもジウンを気遣っている」と作家は言い、ジウンがAD時代を乗り切れたのは、パクPDのおかげだと、エピソードを話した。
パクPDは、ジウンに、
『平凡で見逃されやすい日常を撮るのが俺たちの仕事。
変わらない生活を送る人々に、自分の姿を重ね得ることで
”これが生きているってことか”と気づかされる』と話して励ました。
”都市が眠っている間 私たちは” 9:00 PM – 2:00 AM
ウンの夜間の個展が始まった。
初日から好評、たくさんのお客さんが見に来た。
ヨンスは最終日に行く予定。
それまで、ヨンスはいつもと同じ日常を過ごした。
ヨンスは、仕事で、スタッフ2人と図書館に。2人は、コオの個展の話をしていた。
スタッフの1人、ミョンホは、まだ見に行っていなかった。
2人はヨンスに、
「恋愛中ですよね?雰囲気が柔らかくなりました。チーム長を変えたお相手が気になります」と話しかけた。
「仕事の話を」とクールにいうヨンスだが、帰り際に、
「ミョンホさん、必ず来てください。私の彼氏の個展に」
とサラッと言って去った。
残された二人は「彼?コオ氏?」と???(笑)
ジウンは社員食堂で食事中。チェランが来て
「先輩、いい加減にしてください。最近、おかしいです。失恋のつらさはわかりますが、引きずりすぎです」と怒った。
「失恋したんだった、思い出したよ」と他人事のように言うジウン。
「ヨンスさんのせいではない?」チェランは理由がわからないが、家に帰らないジウンに
「仕事の度が過ぎます、心配させないでください」ときつく怒った。
「心配はありがたいが、そう怒るなよ」とジウンは笑顔で言った。
個展最終日。
ヨンスは、車で、ウンの個展に向かっていた、、、が、電話がかかり、方向を変えた。
ウンは、時計を見ながら、ヨンスを待っていた。
そこに、綺麗な花束を持ったNJが来た。
他に誰も客がいない。
「私がチケットを買い占めました」とNJ。
「えっ、えっーー」と驚くウン。
「友達を作るためには、時間を割くか、感動させるかだと言うので”感動”を選びました」とにっこり笑い、右手を出し「友達になりましょう」と。
「平凡に生きたければ、そういうフリをするんだとか。私も友達を作ります」と言うNJに
「やり方が、全然 平凡じゃないです」と笑いながら、ウンは握手した。
チェランの言葉がきいたのか、ジウンは退社しようとしていた。
「何かあったのか?」と気遣うパクチーム長に、「別に何も」と言って会社を出た。
ウンの個展会場、
閉館間近になっても、ヨンスは現れない。
ヌアがやってきた。
「さすがだ、絵は上手いが進歩がない。
盗作疑惑については何も言わないんだな」とヌア。
「うん、興味がない」とウンがその場を離れようとしたら
「俺が盗んだんだよ。昔から偉そうだった。
興味も野心もないフリか。
お前がどんな顔をするかみて見たかった。
でも、顔色ひとつ変えないお前を見て思ったよ。
哀れな人生だな
全部 簡単に捨てられるほど 無意味な人生なんだろ
そんな生き方で お前の人生に何が残る?
退屈な絵ばかりだな、空っぽだ」とヌアは言って帰った。
何も言わず、立ち尽くすウン。
ヨンスは、病院に来ていた。おばあさんが緊急で運ばれたようだ。
おばあさんは目覚めて、
「まだいるの、ウンのところに行きなさい」と言うが
「行けるわけない」とヨンスは涙声で言った。
「私は強い人間、これからも長生きする。
でも万が一が怖い。あんたを1人残してしまったらと、、。
生きるのよ、私がいなくなっても、ちゃんと食べて、好きなことをして、生きていくの。
周りの人たちと仲良く、やりたいことをやって、楽しく生きていってほしいの」
とおばあさんは言った。
泣くヨンス、、、。ヨンスの手を撫でるおばあさん。
ウンは、個展会場からヨンスに電話をしてみるが、通じない。
そこに電話が。屋台で飲んでいるジウンに会いに行った。
「二人で飲むのは久しぶりだな。なぜ個展に来なかった?」とウン。
「忙しかった」とジウンは一言。
「来てくれなくてがっかりだ。今は暇なのか」とウン。
うなずくジウン、少し微笑み
「母さんが死ぬそうだ」と言った。
驚くウン
「でも、少しも悲しくない」とジウン。
テントの外は雪。
二人ともしばらく黙り、
「哀れだよな」とウンが静かに言った。
「だれが?」とジウン。
「誰って、、みんなだ。僕たち、、全員」
ウンはジウンにお酒を注いで、二人でグラスを合わせた。
テントの外は雪が舞っている。
ヨンスは、病室を出て、廊下からウンに電話をした。
何回か電話をしても通じなかった。
パクPDが外出先から戻ると、会社のビルの前に、誰かを探している様子の女性が立っていた。
ジウンの母だった。
「誰かをお探しで?」とPDは声をかけた。
ウンが家に戻ると、ヨンスが玄関でうずくまっていた。
「ヨンス、何してるんだ」と抱え起こした。
「私が、また何もかも台なしにしてしまったかと、、、
また私が、全部 壊してしまったかと、、ごめんね、本当に ごめん」と言って泣いた。
「そんなことないと言っただろ。君は何も壊したりしない」
「ウン、つらいの」
ヨンスが初めて弱音を吐いた。ウンはヨンスを抱きしめた。
「私 つらくてたまらない」と涙を流すヨンス
ウンは「ああ」と言ってただ抱きしめていた。
ウノは、ソリの店で、飲んでいた。
「個展は成功したわ」と言うソリに
「いや、有名な評論家が酷評を」とウノは沈鬱に言った。
〔評論家の記事をネットで読むウン 回想〕
”自分の世界に囚われたままの画家”
技術力の裏に 大人になりきれない幼稚さが見え隠れする
感情を 羅列したような絵は 殻に閉じ困った子供の 落書きに過ぎない”
ウンは、ヨンスの手を取り、「入ろう」と家に入った。
エピローグ
ウンはフランスの建築学科のパンフレットをヨンスに見せ
「君と一緒に行きたい」と言った。
感 想
15話も、本当にしみじみと心に響く回でした。
冒頭、ジウンのモノローグと幼い頃からの母との関係。
ジウンがほしかった”かけら”は、母の愛、言い換えれば、”安心感”だったり、母のジウンへの”関心”だったのだと思います。
そのかけらを求めることをやめた、と思わなければ生きてこられなかったジウン、本当につらかったでしょう。
でも、そんなジウンに、まずウンという友達ができ、ウンの両親、大人になってからは職場の人たちと、愛に恵まれてきた。
それでも、一番ほしい”かけら”を持っていないジウンは、どこか心許なかったかもしれない。
ひどい母親だと思う、でも”母が死ぬ”と聞くと、ヨンスへの失恋を忘れてしまうほど、そのことで頭も心も一杯になっている。
「悲しくない」とウンに話したけれど、言葉で説明できる感情はなくても、心から離れない。
ヨンスは、ウンに甘え、穏やかな日々を楽しみながら、どこかに不安を抱えている。
また私が台なしにするのでは、、と恐れている。
でも、ウンは少しも揺るぐことがない。「そんなことはない」と心の底からヨンスに言うことができる。
そんなウンだが、夜中に開催した個展で、有名な評論家から酷評され、ヌアから、さんざんなことを言われた、それも、盗作した張本人であるヌアに。
ウンは深く傷ついたはず。でも、彼は、それを冷静に受け止める強さを持っているように見える。
いつの間にか、ウンは、本当にやさしくて強い、素敵な男性になっていました。
ヨンスが、ウンの家の前で「また、私が何もかも台なしにしてしまったかと、、、」と泣く場面、キム・ダミさんの迫真の演技に、もらい泣きせずにはいられませんでした。
ヨンスが、初めて、弱音を吐くことができて、よかったと。
15話で一番心を動かされたのは、ウンがジウンと飲む場面。
「哀れだよな」
「誰って、、みんなだ。僕たち、、全員」
胸に刺さりました。その通りだなと。
ウンの「哀れだよな」の言葉に、慈しみ、愛があったから、しみじみと共感してしまいました。
素晴らしい脚本と、俳優さんたちの演技に感謝します。
16話のあらすじは以下でまとめています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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