2024年7月25日に配信されたNetflix 日本ドラマ『地面師たち』、大変な人気ですね。
一気にしたという感想が多く見られますが、私も途中で止めることができず一気見してしまいました。
Netflex に契約してから、韓国ドラマにのめり込み、アメリカドラマやイギリスドラマにもハマりましたが、日本のドラマは正直、ものたりなくなく感じていました。
しかし、この『地面師たち』、 ”日本にもこんな素晴らしい俳優さんたちがいる、今までわかってなくてすみませんでした”って気持ちになりました。
脚本・監督が大根仁監督だからか、映画のようで、映像もスピード感も臨場感も、バイオレンスシーンも中途半端じゃなくて、とにかく面白かったです。
原作は、新庄耕『地面師たち』。実際に東京で起きた大型地面士詐欺事件を元に書かれた小説。
簡単なあらすじと感想を紹介していきます。
*ネタバレあり
登場人物とキャスト
〔地面師たち〕
ハリソン山中:リーダー(豊川悦司)
辻本拓海:交渉役(綾野剛)
竹下:情報屋(北村一輝)
麗子:なりすましのキャスティング手配師(小池栄子)
後藤:法律担当(ピエール瀧)
長井:ニンベン師、偽造書類作成者(染谷将太)
〔詐欺にあう不動産関係者〕
真木:マイクホームズ社長(駿河太郎)
青柳:石洋ハウス、開発部 部長(山本耕史)
須永:石洋ハウス 部長(松尾諭)
〔警察関係〕
辰:警視庁捜査二課、ベテラン刑事(リリー・フランキー)
倉持:警視庁捜査二課 新人刑事(池田エライザ)
第1話 あらすじ
ハリソン山中は、外国の山にエルク狩りに行ったが、突然あらわれた熊を撃ち殺した。彼は、その時のエクスタシーが忘れられなくなった。
辻本拓海を「地面師になりませんか?あなたの人生を狂わせた詐欺師、今度はあなたが誰かを地獄に落としてみませんか?」と誘った。
2017年6月、新橋の雑居ビルから、女性の白骨死体がみつかり、 ”地面師”と呼ばれる不動産詐欺により、不動産会社が20億円だまし取られた事件が絡んでいた。白骨死体の女性は、地面師が交渉の場に参加させた偽物のオーナーだった。
警視庁ニ課では、辰刑事が、この事件にハリソン山中が絡んでいるのではと睨んでいた。
ハリソン山中のファイル:不動産業界では有名な地面師、元暴力団。1980年代後半のバブル時代に地上げ屋として名を馳せる。その後、地面師詐欺集団を束ねて次々と大掛かりな詐欺を仕掛け、バブル崩壊後に雑居ビルを巡る詐欺事件で逮捕、懲役5年の実刑判決。出所してから、ITバブルでまた動き出し、2007年の事件の時は、辰刑事が取り調べたが、嫌疑不十分で不起訴処分になっていた。
今回、地面師たちが詐欺をしかける相手は、マイクホームズ。
物件:東京都港区恵比寿の宅地, 恵比寿駅から徒歩5分、築54年の一軒家。
所有者の島崎健一は、この家で一人暮らしをしていたが、がんで入退院を繰り返した末、昨年、熱海のホスピスに入居。
地面師の仕事の流れ:
①物件選定:情報
物件の情報は情報屋の竹下から。ハリソン、拓海とともに下見、478平米、坪単価980万、価格を9億に決める。
②偽情報リリース : 土地ブローカー
渋谷・恵比寿・代官山エリアを得意とするブローカーに、”この土地が売りに出ているという偽情報”を流す。積極的に食いついたのが、投資用ワンルーのマンションの販売を手がける”マイクホームズ”という新進の不動産企業。
③ターゲット接触:法律屋
法律屋の後藤が仲介業者としてマイクホームズに接触。他の業者も興味を持っていると相手を焦らす。真木社長は他社に取られる前に手に入れるために「10億払う」とオファーした。
④なりすましキャスティング:手配師
地主、島崎のなりすましの選定は、麗子の仕事。身寄りがないのが第一条件で、2人の最終候補から、ハリソンが ”佐々木”を選んだ。
⑤ターゲットの物件下見
後藤が、マイクホームズに物件の下見をさせたが、地主(なりすまし)にはまだ会わせない。
⑥偽造書類等作成:ニンベン師
契約に必要な土地関連の公的証書や本人確認のための運転免許証、保険証を偽造するのはニンベン師の長井。
そして、本日最終段階:本人確認および最終決済の日。
地主”島崎健一”のなりすましにキャスティングされた佐々木が最後の確認特訓を受けていた。
ハリソンは、交渉役の拓海を呼び、最終書類を確認した。
印鑑証明、登記事項証明書等の土地関係、住民票、免許書(ICチップ組み込み済み)、保険証等の個人書類
拓海の指には”特殊フィルム”が塗られている。ハリソンは拓海に「これを」と何かを渡した。
拓海と後藤となりすましの島崎健一の3人が弁護士事務所に到着した。
すでに売買契約を締結し、前金の1億円は振り込まれている。本日の最終決済、残金9億の支払いと所有権の移転が同時に行われる。
両方の出席者は以下の通り。
地面師側:不動産管理役の井上(拓海の偽名)、仲介の山下(後藤の偽名)、島崎健一(地主のなりすまし)、弁護士(島崎が成り済ましだと知らない)。
マイクホームズ:真木社長、司法書士の石黒、社員2名
本人確認書類、島崎が、偽の免許証と保健証を出し、司法書士の石黒がチェック。
石黒から、島崎に本人確認の基本的な質問が終わった後、2枚の写真が出され「どちらがご自宅ですか?」と。井上(拓海)が手に取り、親指で合図して知らせて問題なし。
最後の質問、「買い物をする近くのスーパーはどちらですか?」、想定外の質問だ。島崎は答えられずパニックに、そして、「あああーー」と言ってズボンを漏らしてしまった。
井上(拓海)が、彼をトイレに連れて行こうとした時、突然、島崎がまた「ああ」と言い、名前から生年月日まで繰り返した後、「買い物は、ピーコックもあるのですが、ライフによく行きます、ライフの方が安いので」と答えた。
真木社長と石黒司法書士は島崎を信じ、書類は全て整い決済され、残金の支払いがなされた。
ハリソンが携帯で900,620,000円の入金の確認をした。
1週間後、地面師たちが揃っての打ち上げの席で、島崎がスーパーの質問に答えられた種明かしがされた。
ハリソンが最終決済にいく直前に拓海に渡したのは、”ワイヤレス・イヤホン”だった。
拓海は、アドリブで、質問に答えられない島崎のズボンに水をかけ、彼を立ち上がらせ、彼の耳にこのワイヤレス・イヤホンを入れた。ハリソンが島崎に話しかけ、言ったことを彼に復唱させたのだった。
ハリソンから後藤に、現金で1億5千万のギャラが支払われた。拓海も1億5千万、麗子には8000万、竹下には2億だが、この3人への支払いは、ハリソンが海外で洗浄を終えた後になる。ハリソンの取り分は4億2000万、竹下はそれが不満。
話題は次のヤマに。竹下がいくつか候補を挙げたが、ハリソンは「もっと大きなヤマ、死人がゴロゴロ出るようなヤマを。難攻不落なヤマを落としてこそ、どんな快楽も及ばないエクスタシーとスリルが味わえる」と。
「あるぜ、死人が出そうなヤマが」と竹下が言った。
竹下は高輪台の廃墟ビルに全員連れてきた。そこから、夜でも煌々と灯りがついて都内に、ボッカリ暗い一角がみえた。竹下の話はこうだった。
”光庵寺”という寺だが、寺は土地は一部で、奥の駐車場と今は使ってない建物は、寺とは切り離した土地として不動産登記されてる。そこを売ることはできる。持ち主は寺の一人娘の尼さん、結婚していた旦那が何年か前に失踪したらしい。駐車場と建物を合わせて3200平米、市場価格は100億円はいくかも。しかし尼さんは絶対に売らないと言ってると。
ハリソンは「やる。罠を仕掛ければ必ず獲物はやってくる」と言った。
島崎のなりすましになった佐々木は、夜の道を長崎の知り合いのところに歩いていたが、大型トラックに轢かれて死んだ。
拓海は真夜中、塀を乗り越え寺に侵入した。本堂の戸を少し開くと、尼の住職が火を炊きながら”般若心経”を唱えていた。拓海はろうそくの炎を見ながら、自分の家が燃えているのを思い出し、涙を流した。
ハリソンは自分の部屋で、佐々木が恐怖に慄きながらトラックに轢かれていく映像を、ウイスキーを飲みながら見ていた、、。
感 想
冒頭のハリソンが海外の山で熊を撃つところから、最後の場面まで、何一つ無駄がなく、そしてディテールがしっかりしていて、セリフも俳優群もすごく面白かったです。
1話は、ターゲットになるマイクホームズを例に、地面師詐欺が、どういう手順で行われるのかをすごくわかりやすく説明してもらったという感じでした。プロの仕業です。
主要の俳優さんたちはもちろんですが、島崎になりすました俳優さん、演技と思えないほど、佐々木が島崎に成り済ましたおどおど感が出ていました。
そしてマイクホームズの若い行政書士もいい味でした。島崎に、スーパについて聞いた時、後藤(ピエール瀧さん)から「もうええがな」と大阪弁で怒られながらも、「取引の安全性を担保するのが私の仕事です」という場面が良かったです。後日、後藤が彼を認めてるのも面白かった。
また、「小物は小物なりに、殺される直前に急にあがいたりしますからね」って、ハリソンが見透かしていたのも面白かったです。
ハリソン山中、トヨエツさんの怪しさが最初から半端ない。容姿から、雰囲気から、ゆっくり丁寧に話すのも全部すごく怪しいです😱。
第2話 あらすじ
捜査ニ課の辰刑事は、着任早々の女性刑事、倉持とコンビを組むことになった。
そこに、「10億をいかれた!地面師だよ、地面師!」と憤っている男性が現れた。マイクホームズの社長、真木である。彼は法務局から”却下”の知らせを受け、地面師詐欺に遭ったことを知ったのだ。
翌日、警察がマイクホームズに事情を聞きに行き、辰と倉持も同行した。
担当刑事が数枚の写真を出した、そこに後藤の写真があった。真木は、こいつを捕まえて10億を取り戻してくれと哀願した。
辰は「地面師詐欺は、プロ中のプロが集まって行う集団詐欺、犯人は他にもいる、全員を捕まえないと事件は解決しない。10億は架空口座からすでに海外の口座に送られ、マネーローダリングが行われる、捜査できない国にその金が行ってしまうとお手上げだ」と言った。
地面師たちは、マイクホームズの事件が発覚した頃、東京を離れていた。
拓海はハリソンに誘われ外国に狩りに来ていた。ハリソンは撃ち殺したエルクの肉をさばいて焼いた。
拓海は、8年前実家の火事で母親と妻と幼い息子を亡くしていた。火事の原因は父親の放火だったが、犯人は他にもいた。それから命が感じられなくなっていた。
地面師たちは東京に戻り、新たな、そして過去最大のターゲットに向けて動き始めた。竹下が物件について詳細に説明した。
光庵寺、港区高輪、江戸時代に建てられた寺、本堂にある仏像は重要文化財として指定されてる。所有者は住職の川井菜摘45歳、寺の敷地内に一人で住んでる。
狙うのは、寺に隣接する3200平米の土地、80台分の駐車場と更生保護施設、そこは刑務所を出た女性の更生施設だったが、5年前に菜摘の元夫が入居してた女性と駆け落ちして閉鎖。
それ以来、川井はほぼ寺の中で過ごしている。
拓海が寺を張り込むことになった。
後藤は、札付きのブローカーや地上げ屋にも土地情報を流していた。
麗子は、”髪を剃ること受け入れる”成り済ましを見つけなくてはならない。
石洋ハウス:
開発部の部長、青柳は窮地に陥っていた。土地代だけで70億の大型のプロジェクトの開発予定地が、突然確保できなくなったのだ。
彼は会長派のライバルの須永に激しく責められていた。青柳は社長派、このままでは、出世頭だった青柳のキャリアに傷がつく。青柳は代替えの土地を1ヶ月以内に確保しなければならない。
青柳はチームの部下たちを集め、「ブローカーや地上げ屋にもあたれ。戦争なんだよ!」と声を荒げた。
辰刑事は、地面師の井上(拓海)の名刺の住所に、倉持と共に行った。
現住居人に、「以前住んでいた住人宛に郵便物が届いたことはないか?」と聞いた。「変な手紙が届いたけど捨てた」と聞き、ゴミ袋から、”千葉刑務所の辻本正海から、辻本拓海宛の手紙”を見つけ出した。
拓海は、光庵寺の前のビルの1室から寺を見張っていたが、川井の様子はいつもと同じ。その部屋には、竹下の手下のアントニーもいた。彼に「なぜ地面師になったのか」と聞かれ、拓海は、、。
自宅の火事で何もかも失った拓海は、2年間何もせずに引きこもっていたが、金が底を尽いた。
2011年、彼はドライバーをしていた。高級デリヘリ嬢サキを部屋に送り届け、客から金を受け取り、終わったらまた次の客に届ける。
ある夜サキの携帯から電話があったが、相手は客の男性で、相談したい件が生じたので部屋まで来て欲しいと言った。拓海が部屋に入ると、サキはベッドでぐったりしていた。
「100万払うといいと言ったので、合意の上であることを試した。死んでると思いますよ」と男は言った。男はバッグから札束を数冊出し「これを受け取りここを去れば、あなたは助かる」と言ったが、拓海は「もう死んでるよ」と死んだ声で言い、ベッドの上のサキに心臓マッサージと人工呼吸を行うと、彼女は息を吹き返した。
男は「あなたは人を殺したことがあるのでは?困ったことがあればここに連絡を」と拓海に名刺を渡した。これがハリソン山中と拓海の出会いだった。
竹下が見張り部屋に入って来た。拓海は彼に、1週間見張っていたが、川井に何の動きもないと報告した。
竹下は「寺の口座から川井本人の口座に、定期的に結構な金額が振り込まれてる、先月なんか500万」と拓海に川井の通帳のコピーを見せた。
その時 寺に動きがあり、ウイッグをした川井が寺から出てタクシーに乗った。拓海とアントニーは車ですぐにタクシーを尾行した。
タクシーはホテルに止まり、川井は中に入った。拓海は彼女を尾行、彼女が35階の3507号室に入ったのを確認した。拓海はニンベン師の長井に、手に入れた部屋のカードキーに細工をしてもらい、川井の隣の部屋に侵入した。
拓海は壁マイクを使い、隣の川井の部屋を盗聴、そして、ニヤリと笑った。隣の部屋からは、女性の喘ぎ声と男性の激しい息遣いが聞こえてきた。
石洋ハウスの青柳は、藁をもすがる思いで、路地裏の地上げ屋の”林不動産”に来ていた。
林は青柳が大井町の物件の代替えの土地を探している事情を知っていた。しかし彼は、青柳から、昔 散々汚れ仕事を押し付けられ、都合が悪くなったら切り捨てられ3年も刑務所を食った。彼は青柳に丁重にお断りした。
青柳は、路地を出たところでライバルの須永に会い、散々バカにされた。
彼は、やけっぱちで酔っ払いながら夜の街歩き、偶然 広い駐車場に来た。スマホで自分がいる位置を確かめた。
感 想
2話になると、断然、動きが活発になってきました。俳優さんたちがすばらしいです!
まず、リリー・フランキーさんの刑事、この方はどんな役をしても、本当にリアリティーがありますよね。彼の新人の女性刑事 倉持への話方も、詐欺に遭った真木社長に地面師について話す、その声のトーンだとか、ひょうひょうとしながら核心をついた話し方が、ほんとに自然で、演技していると思えないです。
そして何と言っても、綾野剛さん!夜の高級デリヘリ嬢のドライバーをしていた時の、長髪で髭のやさぐれた陰惨な雰囲気がすごいです。本当に死んでる人のようでした。ハリソン山中とも出会いもうまく入っていました。
一番笑ったのは、拓海が竹下からヤクを勧められ、「竹下さん、それ犯罪です!」っていう場面でしたが🤣
そして、ホテルで川井菜摘の部屋を盗聴して、ニヤリとする表情も、最高でした。
北村さんの、ヤクを打ってる竹下の役作りも、ほんとに上手ですよね。
そして山本耕史さん!「戦争やってんだよ!」にも笑えました。時代錯誤なんだけど、実際は、まだこんな感じなのかもと思えるし、若い社員は、パワハラに備えて録音してるし。大企業のエリートサラリーマンなんだけど、汚れてもいるって感じが出てました。
脚本が本当に面白くて無駄がなくて、キャスティングがどの役もハマってて、ドラマにのめり込めます😊
第3話 あらすじ
石洋ハウスの青柳は、先日 偶然見つけた広い駐車場に、部下たちを連れてきた。この地域担当の部下は、持ち主(尼の住職)が絶対売らない土地だと聞いていたが、再調査することになった。
ハリソンルーム:地面師たちのミーティング
拓海は、「川井菜摘は毎週木曜、ホテルにホストを数人連れ込んで複数プレイを楽しむ」と説明、その映像が大画面に映し出されていた。
一人プレイに参加していないホストがいた。店のナンバー1ホストの楓、拓海は彼を利用して川井を外に連れ出すことを考えていた。
麗子がなりすまし候補6人を選んできた。ハリソンと拓海が、別室にいる彼女たちを外から見たが、即 却下された。
竹下が突然、「30億、今回の俺の取り分は30億にしてくれ」と喧嘩腰でハリソンに突っかかってきた。竹下はシャブ中毒が酷くなり、正気を失っているようだ。彼は出て行った。
後藤が、地上げ屋の林から、”石洋ハウスの不動産開発部の部長が、代替えの大きな土地を探してる”との情報を得ていた。ハリソンは「面白い、進めましょう」と言った。
警視庁ニ課:
倉持は、先日の千葉刑務所からの手紙を調べて得た事実を、辰に報告した。
「おそらく井上は辻本拓海の偽名、辻本正海は拓海の父親。横浜で不動産関係の会社を経営していて、拓海も営業担当で働いていた。しかし8年前に経営難に陥り、父の正海が焼身自殺を図り、妻と拓海の妻と5歳の息子が死亡、本人も大火傷を負ったが一命を取り留めた。留守にしていた拓海は助かった。経営難に陥った原因は、不動産詐欺に遭い数億の損害を出したこと」と。
辰と倉持は、千葉刑務所で受刑中の辻本正海に面会し、詐欺師について聞いた。
「息子の紹介で、西谷という不動産仲介業者に会った。”駅前の320平米 商業地域”を紹介された。しかしそれが詐欺だった。西谷の会社はなく、紹介された地主は偽物だった。借金で追い詰められ、取り返しのつかないことしてしまった」と正海は言った。
拓海はニンベン士の長井に、”特殊メイク”をお願いした。
拓海は左頬に”火傷のケロイド”の痕をつけて、菜摘の通っているホストクラブに来た。
彼は「NO.1の楓さんに憧れて、何でもします」とマネージャーにお願いした。そこに楓が来て、彼の一声での採用、名前は”ケロ”になった。
ある夜、拓海は楓からドライバーを頼まれ、歌舞伎町で彼を降ろした。その時、男が未成年の少女を3人連れて同じホテルに入ったのを見た。戻ってきた男の後をつけ、”エンジェル・エージェンシー”をアントニーに調べさせると、”風俗の斡旋、未成年の家出娘をひっかけ売りの斡旋もやってる”とのことだった。
後藤は地上げ屋の林に会い、「高輪に3200平米の土地がある」と言い、石洋の感触について聞いた。林は「社長案件に持って行ったら早々に決まるかも。ただ、3ヶ月前の恵比寿の土地のようにはいかない、石洋が信用しそうな会社を紹介するんで、仲に入ってもらい、そこから石洋に話を持ち込むってのは?」と提案した。後藤は持ち帰った。
後藤から話を聞いたハリソンは、林の提案を受ける、林への紹介料3000万も用意すると言った。後藤がすぐに林に電話すると、林はすでに、中間業者の”アビルホールディングス”に連絡していた。
拓海はネットで”アビルホールディングス”を検索した。後藤は「相談役の女性の夫が自民党議員らしい」と言うと、ハリソンと拓海は納得した。
麗子は熱海の旅館で中居になり、”川井のなりすまし”を探していた。
拓海はホストクラブの潜入を続けていた。
木曜日、川井菜摘が来店し、シャンパン”サロンマグナム”を入れた。
そしてその後、いつもの通りホテルへ。その日のメンバーは、菜摘、楓、ケロ(拓海)の3人だった。菜摘は、あのシャンパン入れたら 2人で会うと楓から聞いていたので、納得できなかったが、楓に言いくるめられた。その夜、菜摘とケロ(拓海)の激しいプレーを、楓は唖然と見ていた。
後藤は林の事務所で、アビルホールディングス社長の阿比留と会った。「アビルの取り分は10億」と聞き、阿比留は同意した。
後藤は3000万円のキャッシュが入った紙袋を林に渡して帰った。
ハリソンは後藤から、”交渉成立”のラインを受け取り、林に電話、丁寧に礼を述べた後、「何も知らないままお休みください」と電話を切った。その直後、3人の男が林の事務所に入ってきて、彼の首を絞め殺害した。
楓は、ケロ(拓海)に歌舞伎町にいくように指示した。前と同じホテルの前で降ろすと、また男が未成年の少女3人を連れてホテルに入った。拓海は特殊メイクを剥がして、アントニーに連絡した。
アントニーが2人の手下と、楓が少女3人を連れ込んでいる部屋に入ってきて、楓を殴った。メイクを剥がした拓海が楓の頭を持ち、「楓さん、このことはどこにもバラしません。その代わりお願いしたいことが」とクールに言った。
感 想
3話も展開が早いです
拓海がホストクラブに潜入するために特殊メイクをしましたが、その最初のビジュアル、”フードを被り、左頬にやけどの痕、メガネ、破れたジーンズで、雑踏の中を歩く”、その綾野剛さんのビジュアルが、なんとサマになっていることか‼️ 綾野さん、このドラマで、いろいろな顔を見せてくれます。
菜摘が入れたシャンパン”サロンマグナム”、値段をネット調べました。こういう固有名詞を入れることで、”ふと客”が贔屓のホストにどれほどのお金を注ぎ込むのか、すごくリアルになりますね。
2話で、竹下が拓海に、毎月寺から川井個人口座にかなりの大金が振り込まれてると言ってましたが、そのお金がホストクラブ通いに使われているのでしょう。
後藤が、地上げ屋の林から石洋の青柳のことを聞きつけ、ハリソンに報告、次のターゲットが一流企業『石洋ハウス』に決まるのもスムーズです。それぞれの仕事が早い。
そして今回もハリソンは林を容赦なく殺害、人格ブレてないです😱
刑事の辰と倉持は、地面師の井上は辻本拓海の偽名で、実は彼自身が地面師詐欺の被害者だと突き止めています。こちらも動いています。
第4話 あらすじ
拓海とアントニーは、ほぼ裸の楓を屋上の端に連れて来た。ネクタイで首を縛り、その端をアントニーが持っていた。彼がそれを離すと楓は地上に真っ逆さまに落ちる。楓は「何でもやります」と恐怖の表情で繰り返していた。
ハリソンは、拓海が撮影した楓の表情を大型スクリーンで見て、「追い詰められた人間の表情はすばらしい」と言い、映画『ダイ・ハード』の最後の場面、強盗グループのリーダー・ハンスがビルから落ちるシーンの素晴らしさについて、拓海に熱く語った。
麗子は拓海から、キャスティングについて催促の電話を受け、目をつけていた清掃係の女性に話しかけた。シングルマザーで、一人息子は入院しているとの情報を得た。
捜査二課:
倉持は、「拓海が100%家族との縁を切ってるとは思えない、もうすぐ命日なのでお墓参りに来るかもしれない。もう一度 辻本正海の面会に行く」と辰に言った。
辰は上司の羽場から「一課が捜査している殺人事件、前に担当してた地面師詐欺に絡んでた地上げ屋じゃないか?」と資料を見せられた。辰はすぐに林の事務所に行った。
カレンダーの写真をスマホで撮った。”G アヒル”の文字が見えた。
石洋ハウス:
青柳は部下から、”あの寺の資産管理人が、土地の売買をアビル・ホールディングに申し出ている”と聞き、すぐに連絡するよう指示した。アビルのサイトに載っている”相談役は自民党の建設族の議員の妻”、青柳たちはその情報でアビルを信用した。
11月8日午後3時から、売主と代理人たちとの面会が決定した。
青柳たちは、恐らく100億から110億が交渉のベースラインと予想したが、、。
ハリソン・ルーム:地面師たち会議室
後藤が拓海に、石洋との面会は”11月8日午後3時 場所はアビルの会社“に決まったと伝えた。
麗子からハリソンに、なりすましの候補の写真が届き、ビデオ電話でプロフィールの説明。
「谷口淑恵51歳、シングルマザー、熱海の旅館で清掃員として働いている。離婚した亭主が飲食店経営の失敗で残した借金が1250万、一人息子が先天性の心臓病で入院中だがその治療費が足りない。早急に500万必要」。
拓海とハリソンは、直感で行けると判断した。
早速 拓海は長井に、麗子から送られた写真で、偽造パスポートと免許証を依頼した。
後藤はスマホのネットニュースで、林が殺害されたニュースを見て、顔をしかめていた。
署に戻った辰は、地面師たちが新たな土地を狙っている?と考えていた。
辰は、倉持から「辰さんは持ち家で、奥さんは辰さんと家族を守ってきた、マジ、リスペクトです」と言われてまんざらでもなかった。
しかし家に戻るといつもの通り無口。妻に「退職したら、娘たちと旅行でも行くか?」と言った後、「最悪、お前と二人でもいいし」と口が滑ってしまい、妻と微妙な空気になった。
妻は寝室で、記入した離婚届を見ていた。
辰は、林のカレンダーを印刷して見ていた。それに水がこぼれ、”アヒル”が”アビル”に。すぐにスマホでアビルを検索すると不動産会社のサイトが出てきた。
翌日、倉持は千葉刑務所で再度 辻本正海に面会して、家族の一番楽しい思い出を聞いた。
正海は、「事件を起こした前の年の夏休みに伊豆の稲取に旅行に行った。最後の日の夜に、浜辺で花火をした。その時 俊海が ”おじいちゃん、僕ずーっとここにいたいよ!”と言ったんです」と言って嗚咽した。
倉持は辰に、拓海の妻と息子の墓がないか捜しに行くと連絡した後、バイクで稲取の墓地を回った。
辰は、アビルホールディングのビルの前の喫茶店から、ビルを見張っていた。
麗子は谷口淑恵になりすましを依頼、「息子さんの治療が必要でしょ、500万出す」と言うと、谷口は引き受けた。
11月8日、午後 2:55、辰は同じ喫茶店からアビルを見張っていた。
タクシーを降りた辻本拓海と後藤が喫茶店に入って来て、辰の後ろの席に座った。辰に、二人の会話が聞こえた。 後藤が拓海に、「地上げ屋の林が死んだ、ハリソンがやったと思う。あいつは狂ってる」と話していた。
その時 倉持から、「拓海の妻と息子の墓が見つかった」と電話があった。
拓海と後藤が店をでて、アビルに入って行った。
辰も外に出たが、車が止まり、黒いビニール袋を被せられて拉致された。
階段を登り、辰はビニール袋を外された。前にハリソンがいた。そこは廃墟ビルだった。拉致した男がハリソンに辰の携帯とピストルを渡した。
「最後に自分の銃で撃たれるとは思ってなかった」と辰は言ったが、ハリソンは否定し、「あそこから飛び降りて、自殺するんですよ」と外を指した。
そしてスマホの動画を見せた。辰の自宅で、妻と遊びにきた娘と孫たちが水遊びをしている姿が写っていた。ハリソンは、「あなたが飛び降りなければ、今すぐにご家族を全員を殺して家を焼く。飛び降りれば、ご家族には手を出さない」と言った。
辰は怒りに震えたが、選択肢はない。海に面した雑居ビルの端に追い詰められた。ハリソンは、辰の筆跡に似せた遺書まで準備していた。辰は最後に「情報を流した内通者は、二課の羽場理事官か?金か?」と聞くと、ハリソンは「意外とリーズバブルでした」と言った。
後藤と拓海は阿比留社長ともに会議室に入った。青柳始め数人の石洋ハウスの社員たちが待っていた。後藤が、「地主の川井は、今朝から急に熱を出し来られない」と説明した。
石洋ハウスは、具体的な土地を開発プランを拓海たちに見せたが、興味なし。拓海はアビルホールディングと交わしている契約書を見せた。価格の欄だけ黒塗りされている。
青柳の部下が「購入金額はいくらほどか?」と聞くと、拓海は、「140億円です」と。青柳たちは絶句した。
「私が市場価値で換算した金額ですが、川井様のご厚意もありますので、120億でいかがでしょうか」と拓海は言った。青柳たちの予想額は103億だった。部下が青柳に電卓で数字を見せた。
”116、112”、青柳は首を横に振った、“108”で首を縦に振った。部下が「なんとか108億円でお願いできませんか?」と言うと、後藤が「他社からもぎょうさん問い合わせが来てるらしい。早い者勝ちですよ」と石洋を焦らせた。
部下はまた何回か青柳に電卓の数字をみせ、 「114億でいかがでしょうか?」と。拓海は「118億以下はむずかしい」と言ったが、青柳がじっと考え何かを言おうとした直前、「分かりました。痛み分けで112億、建物の解体費用はこちらで持ちます」と言うと、青柳は了解した。
しかし拓海は、”購入申込書を明日中に提出、その上で2週間以内に、契約と支払いを同時に”と条件をだした。
青柳は、「112億で一括決済は異例だがご期待に添えるように努力する。直ちに売主の川井様と面会、川井様立ち会いの元で、物件と光庵寺内を案内していただきたい」と言った。
拓海は了解し、さらに条件を出した。「川井様との面会は、御社の社内決済を済ませてから」と。
吹き晒しのビルの端まで追い詰められた辰だが、自分から飛び降りることはできない。恐怖に顔が歪み、漏らしてしまった。
ハリソンが「そのまま目をつむってください。私が体を “スリー、ツー、ワン”で押してあげます」と言ったが、彼は、「スリー」で辰を押した。辰は驚愕と恐怖の表情を浮かべて地面に落ちた。
辰の携帯に倉持から電話が、ハリソンは彼女の声を聞き、携帯を上から落とした。”ガシャ”と携帯が地面に落ちて壊れる音がした。
感 想
また4話が見どころ満載でした。
ハリソンが、ホストの楓の追い詰められた表情を見た後、「ダイ・ハード」の最後の場面について熱く語りますが、それが、最後の刑事の辰を追い詰めるシーンにつながっていきました。
倉持が辰に家族のことを聞く場面が入っているのも、ハリソンと辰の最後の場面につながっていきました。
最後、ハリソンが辰を追い詰める場面と、地面士の拓海・後藤 VS 石洋ハウスの攻防が、交互切り替わっていくのが、とても緊張感がありました。
拓海から、価格を140億と言われた時の、青柳たちの絶句の表情、部下が電卓で数字を出し、青柳がそれを見て、苦い顔で首を横に振る場面も、面白かったです。
そして拓海、さすがハリソンの一番弟子!言葉は丁寧で表情も柔和ですが、発言している内容はかなり強引です。
しかし、まさか辰さんがハリソンに殺されるとは、、、。ハリソンはホントにどこまでも冷徹無悲な人物ですね。リリー・フランキーさんの恐怖で顔を歪める表情、ホントに見ものでした。
この辰とハリソンとのシーンは、ドラマの中でも、最も見応えのあるシーンの1つだと思いました。
第5話 あらすじ
辰の葬儀が教会で営まれた。倉持は上司の羽島に、「辰さんが自殺するはずがない。携帯の通話記録を調べさせてほしい」と言ったが、拒絶された。
川井のなりすまし候補の”谷口淑恵”は頭を剃り、麗子から本人確認の質問を受けていた。ハリソンと拓海は別室で谷口を見て満足していた。
ハリソンルーム:
拓海は、石洋ハウスとの本人確認と最終契約の段取りを説明していた。
- 日程は、11月20日、場所は白金ホテルのラウンジカフェ。
- メンバーは、後藤、拓海、川井菜摘のなりすましの3名。
- その後、ホテルからタクシーで光庵寺に向かい、土地の確認、最後に寺の中を案内。
- 谷口(なりすまし)を寺に残し、拓海と後藤は石洋の本社へ。そこで阿比留社長が合流。
- アビルから石洋への売買契約を結ぶ。
竹下とハリソンの間でギャラの折り合いがついたようだ。竹下のギャラは希望通り30億、しかし竹下に金のロンダリングの仕事が増えた。
本物の川井菜摘は、当日の朝、楓と共に旅行に行き、東京を離れる段取りがついていた。
石洋ハウス:
青柳が会議で、「一刻も早く社内稟議決済を通す必要がある。至急案件として取り扱い、他社に横取りされるリスクを回避する。すでに社長に報告を済ませており、社長決済案件になる可能性もある」と説明した。
会議終了後、須永は、「地主との直接面会も本人確認の済ませないで、100億規模の土地の購入はあり得ない。地面師詐欺だったらどうするんだ」と懸念したが、青柳は「100億越えの超大型物件、地面師のようなクソどもがさばけるわけない」と一蹴した。
倉持は辰の家を訪れ、彼の妻と会った。
「辰さんが自殺したとは思えない。奥さんは自殺だと思われるか?」と率直に聞いた。妻は「遺書があり筆跡も似てるが、彼が書いたと思えない、違和感がある」と言った。そして「夫から、もし事件絡みで不審な死に方をするようなことがあった時は、連絡して欲しい人がいると言われていた」と名刺を出した。 ”久保田 昌志”と携帯番号が書かれていた。
そして辰が書いたメモを彼女に渡した。”ABIRUホールディング”と書かれていた。
倉持は久保田と会った。彼は辰が亡くなったことを知ると涙を流した。
「自分は情報屋で、ある経済事件を追ってた時にヤクザに殺されかけたが、助けてくれたのが辰さんだった。それからの縁で、こちらも裏社会の情報を渡したりして。辰さんは自殺なんてしない。家族を殺すと脅されて飛び降りたんでしょう。何でもやりますよ。香典代わりにノーギャラで」と言った。倉持が「辰さんはハリソン山中を追っていた」と言うと、「有名人ですね」と彼は言った。
ハリソンは、ポートエレン・ファースト1979年のウイスキーを拓海と飲みながら、世界中のマニアが1滴でも飲みたがるウイスキーだと、うんちくを述べた。
「土地は土地として太古から存在していただけなのに、人間が知恵を持ち文明を生み出し、生物界の頂点に君臨し、ひどい世界を作り上げた。その最たる愚行が土地を所有したがること。それによって戦争や殺りくを繰り返してきた。人類の歴史は、土地の奪い合いの歴史、土地が人を狂わせる。拓海さん、いつか聞かせてくださいね、私に誘われて地面師になろうと決めた本当の理由を」とハリソンは言った。
拓海は、妻と息子の写真、そして父と自分を騙した地面師の写真を見た。彼の携帯のカレンダーに、19日命日、と書かれていた。
石洋ハウス:
取締役が4人が稟議書に判を押さないため、社長決済が取れず、停滞していた。
青柳に速達で封書が届き、彼はそれを読んで手紙を伏せた。
彼は社長に呼ばれて外に出た。車の中で待っていた社長は青柳を乗せ、高輪の土地に向かった。青柳は図面と照らし合わせて土地の全貌を社長に示し、合わせて3200平米だと説明、社長は大満足した。
「”青柳本部長の案内で社長 現地を視察済み”と稟議書にメモ書きで加えるんだ」と社長はアドバイスした。そうすれば取締役たちは判を押さざるを得ない。社長が決済印を押した時にメモ書きを消す。通常の手順で稟議が通った形になる。その通りに稟議は通った。
早速、アビルを通じて、地面師たちに知らされた。
倉持は、辰が張り込んでいたと同じ喫茶店から、アビルを見張っていたが動きはない。
そこに久保田が現れ、辻本親子を引っ掛けた詐欺師が見つかったと資料を見せた。
「西谷と名乗っていたが、本名は佐伯一真、辻本親子の事件の後、偽造パスポートでマニアに逃亡、誰かに殺されかけて逃げたらしい。もっと調べてみる」と言った。
翌日、11月19日、拓海は花を持って伊豆稲取の墓地に行った。
墓石には、”詩織 拓海”と妻と息子の名前だけが彫られていた。
拓海がお墓参りを終え立ち上がった時、「辻本拓海さんですね」と倉持が話しかけた。彼女は警察だと名乗り、「あなたは半年前の恵比寿の土地の詐欺事件で、金をだまし取った地面師です」と言った。
感 想
辰が自殺だとは思えない倉持は、彼の奥さんに会いに行き、”久保田”と言う人物と接触することになりました。また癖の強い面白い人が登場しました。久保田は辰さんを慕っていたようで、裏社会と通じて、仕事が早いです。
川井菜摘を東京から連れ出すために、ホストの楓が、菜摘に沖縄行きを誘う場面ですが、これ菜摘さんだまされちゃいますね。楓が上手、信じたいって気持ちになりますよ。楓君っていい子じゃん、と思ってしまったもの(笑)。楓くん、アントニーにキツく言われても素直、拓海に丁寧に言われても素直でした(笑)。
ハリソンが長台詞を言う時は、ストリーとは直接関係ない話をします。
以前は『ダイ・ハード』の最後の場面、今回は『ポートエレン・ファースト』ウイスキーから、人類の歴史は土地の奪い合いの歴史だという話でした。ドラマにこう場面が入っているのが、また面白いです。
一方、石洋の青柳の立ち位置は、あくまでも現実的なディベロッパー。青柳とその部下たちは、ただただ仕事熱心なんです、そして、110億の仕事をしてるんだっているすごい高揚感があるのでしょう。
青柳は、”須永の言うことも一理あるかも?”と思えない(思いたくない)、”本人確認がまだなのは危険かも”と部下が言っても、大丈夫と思いたい、自分の都合のいいように考えたい、それが人間の心理です。詐欺師はその心理につけ込むわけです。
拓海は妻と息子の命日にお墓にいきました。お墓参りしてる時の綾野剛さんの表情がまた良かったです。
第6話 あらすじ
拓海は「あなたは地面師です」と言われたが、知らないふりをしてその場から去ろうとした。
倉持が「お父さんに会った。息子が犯罪に加担しているなら、止めて欲しいと泣いて頼まれた」と言うと、「どの口が」と拓海は激怒し車を出そうとした。倉持は車の前に飛び出し、車にGPSをつけた。
ハリソンルーム:
拓海はミーティングに遅れたが、空気が凍っていた。なりすましの谷口が、ダメになったのだ。息子が今朝亡くなったから。
本人確認は明日、どうするのか?
ハリソンが麗子に、「あなたが、川井菜摘のなりすましになってください。川井のプロフィールも想定される問答も全て頭に入っている」と言った。
拓海が、谷口の顔で作成した偽パスポートの写真を見た。目が似ている、髪を剃れば大丈夫かも。
麗子は「絶対に嫌、できない」と拒否した。ハリソンが突然麗子の髪を掴み引っ張り、「やっていただけるならボーナスとしてギャラに1億足しましょう。それでも断るとおっしゃるなら」とさらに麗子の髪を強く引っ張った。
麗子は「分かった、やります」と言った。ハリソンが手を払うと床に麗子の髪が束で落ちた。
拓海と後藤は、麗子の髪を剃るために床屋へ彼女を連れて行った。
倉持がバイクで、ハリソンルームの地下駐車場についた。
本人確認当日。
拓海、後藤、麗子の3人は前日から白金グランドホテルに宿泊していた。麗子はきれいに髪を剃って、尼さんの装束を身につけていた。
拓海は、アントニーから、川井菜摘がタクシーで寺を出発したと知らせを受けた。
沖縄には竹下の部下が手配されているはず。3人は最近、竹下を見ていなかった。
川井菜摘は空港で楓と落ち合って沖縄に飛んだ。
午前9時すぎに2人は那覇空港に到着した。男が迎えにきていたが、竹下だった。
彼は楓に、先ほど東京から連絡があり人目のつかないところで、と言って彼を男子トイレに連れてきた。
そして、いきなり後ろから刃物で何度も刺して、楓を殺害した。
竹下はベンチで待っている川井に、「こっちを向くな」と言ってスマホを見せた。楓が血まみれで死んでいる写真だった。
「こうなりたくなかったら、これで東京に戻れ。急げ」と飛行機のチケットを出した。川井は搭乗口へ急いだ。
谷口が立ち上がると、目の前にハリソンが立っていた。
拓海は麗子に、川井菜摘本人確認の質問のリハーサルをしていた。拓海は最後にパソコンを見せて、寺の奥の仏像を覚えておくよう言った。
その時ハリソンから拓海に電話。「想定外の事態で、川井菜摘が沖縄から東京に戻った。羽田には12時10分着、そのまま光庵寺に戻れば40分ほどで着く。川井本人と鉢合わせにならないように、本人確認と物件下見を済ませてください、 アドリブで」と言った。
拓海は、ハリソンの言ったことを後藤と麗子に伝えたが、「時間通りやりましょう」と言った。
拓海は、アントンニーを羽田空港に待機させ、戻ってきた川井菜摘を尾行するように指示した。
ハリソンは手下を使って、竹下を廃墟に運んでいた。竹下は殴られ椅子に縛られていた。
ハリソンは、「せっかくここまで登ってきて山の頂上が見えかけたのに、なぜ突然仲間のロープを切るようなことをしたのですか?」と聞いた。
「分かってんだよ、石洋から金が入ったらすぐに俺を殺すつもりだったんだろ?だからその前に計画をぶっ潰して、お前を殺そうと思ったんだよ。お前はそれを見越してずっと俺をつけてた。このままシャブでも打ち込んで、オーバードーズに見せかけて殺す、そんなこったろ?」と竹下。
「違いますよ。確かに私はあなたに途中で下山してもらうことを決めた。オーバードーズ、そんな安っぽい殺し方はあなたには似合いません。最もフィジカルで、最もプリミティブで、そして最もフェティッシュなやり方で行かせていただきます」とハリソン。
「何言ってんだか分からない」、竹下が力なく言った時、ハリソンは竹下をウエスタンブーフで蹴り倒した。そして彼はスマホで撮影しながら、竹下の顔を踏み潰した。返り血がハリソンの顔や服に、、(怖すぎ😱😱😱)
ハリソンは手下たちを連れて廃墟を出た。手下の一人が手榴弾を投げ、廃墟を爆発した。
拓海、後藤、麗子がホテルのロビーで待っていた。石洋の青柳が部下を連れてやってきた。
簡単な挨拶の後、本人確認が始まった。麗子がパスポートと免許書を出した。谷口の写真だったが、不審に思われなかった。質問にもよどみなく答えた。
本人確認が終わり、次は寺の案内。石洋の一団と拓海たちは別々の車で光庵寺に到着した。
拓海に何度もアントニーから電話があった。
川井が予定よりも早く羽田に着き、アントニーが彼女をさらうつもりだったが、川井はタクシーで逃げた。
アントニーもタクシーで川井を追いかけたが、ドライバーに暴力を振るい、運転手がハンドルを切り損ねて、タクシーは横転した。
感 想
6話、すごいバイオレンスでした。
1. ハリソン、麗子の髪を引っ張りながら、首を後ろに引くのが怖かったです。麗子に選択肢はなかったですね。なりすましになるはずだった谷口さんと麗子さん、確かに目の感じが似てました。
2. 次は、沖縄に着いた楓が竹下にナイフで殺された場面。楓、素直に拓海たちの言うことを聞いただけなのに、可哀想でした。
3. そして今まで最高に怖かったシーンが、竹下が廃墟でハリソンにウエスタンブーツで踏み殺されるシーンでした。「最もフィジカルで、、、行かせていただきます」のセリフ、丁寧すぎて恐ろしいし、殺害場面をスマホで撮影も怖すぎ。竹下さんは、このヤマが成功してもしなくても、ハリソンに殺されると分かっていましたが、こんなに残虐な殺され方をするとは思っていなかったでしょう。竹下さんが哀れでした。
第7話(最終回)あらすじ
石洋の青柳たちは、お寺の中の見学を切望した。拓海は10分で切り上げるつもり、本物の川井が15分で戻ってくるから。
偽の川井(麗子)は、偽の鍵を開けて門を開き、本堂の扉を開けた。中に入ると青柳たちは感嘆した。
そこで青柳が「最後に確認したい」と先日 速達で送られてきた手紙を出した。
差出人は川井菜摘で、”この土地を売る気はない、貴社は騙されている” という内容だった。
偽の川井は、奥の戸を開け、”五智如来像”を見せた。「重要文化財はこちらです。滅多に人に見せないが、先祖代々守り続けてきた土地を譲る大切なお方なのでお見せした。手紙は私が書いたものではありません」と涙を流した。青柳たちは感動した。
そして偽の川井を残し、拓海と後藤が表門を閉めたと同時に、本物の川井が乗ったタクシーがお寺に到着した。川井が門を開けようとすると鍵が開いていた。麗子は走って本堂の戸を閉めた。
午後4時、石洋ハウス本社で、アビルホールディングと石洋ハウスの間で売買契約が結ばれた。
法務局に待機していた司法書士に連絡、法務局への登記申請が受理された。
売買代金112億円は4枚の小切手で用意されていた。アビルホールディングに手数料10億、残りが売主の代理人である拓海たちに支払われた。
拓海はハリソンに受け取った小切手3枚を渡した。
拓海はハリソンに、”楓が沖縄空港で殺害された”というネット記事を見せ、「川井が急に戻ってきたのはこのせいですか?」と聞いた。
ハリソンは「目的まであと一歩という時に足を引っ張るのは敵ではなく必ず味方です。竹下さんに献杯しましょう」と拓海にウイスキーを渡した。
拓海が自宅に戻ると、誰かがドアをノックした。彼をバイクで尾行していた倉持である。「亡くなったご家族のことで重要な話があって来た」と言った。
彼女は久保田から、拓海たちを騙した西谷(本名、佐伯)のその後の情報を入手したのだ。
佐伯はマニラの収容所(刑務所の類似施設)に逃亡中。久保田の知り合いがそこに潜り込み、佐伯から話を聞き全てが繋がった。辻元親子を騙した詐欺事件の黒幕はハリソン山中、佐伯はハリソンに殺されかけてマニラに逃げたのだ。ハリソンはゲーム感覚で地面師詐欺をやり、終わったら仲間やなりすましを殺す、しかも全て撮影している。
久保田は、”ハリソン山中と佐伯が一緒に写っている写真”を倉持に渡した。
倉持は、拓海のアパートのドアの前で上記のこと話し「ハリソンはあなたを殺すつもりです。その写真と私の名刺を置いていきます」と言って去った。
しばらくして拓海はドアを開け封筒を取り、写真を見た。
契約を成し遂げた青柳と部下たちは、絶好調で打ち上げをしていた。社長がシャンパンを持参して青柳チームを労い、小声で彼に「次の人事で取締役に推薦する」と言った。青柳は社長秘書に目で合図した。ホテルの部屋から、契約した土地が闇に沈んでいるのが見える、彼はそれを見ながら秘書を抱いた。
1週間後:
川井菜摘(本物)が掃除のために門の外に出た。雨だった。
駐車場にたくさんの人がいて慌ただしい、何をしてるのかと聞いた。「今日から土地の測量に入る」とスケジュールを見せられ、彼女は驚き警察に連絡した。
青柳は、取締役たちの前で大型プロジェクトのプレゼンをしていた。彼の部下が電話を受け、急いで青柳に耳打ちした。青柳はプレゼンを中断し会議室を出た。そこに別の部下が慌てて、「部長、大変です、法務局から連絡がきて、土地の所有権移移転申請を却下と、、」。
青柳はすぐに光庵寺に行った。バトカーが数台いて、野次馬たちも集まり、ものものしい。
青柳は警察と話している尼僧に近づき、「川井菜摘様はいらっしゃいますか?」と。
「私が川井菜摘ですが」と言われ、「、、、ウソだ、違うよな、違うと言ってくれよっl!」と正気を失った。青柳はフラフラ歩き、、、道を横切ろうして、車にはねられ、死亡した。
ハリソンが傘をさし、そんな彼を見ていた。
拓海は長井のアジトで、高輪の交通事故のニュースを聞いた。拓海は、長井に頼み事をした。
倉持は誰かから電話を受けた。
数日後:
拓海は交通事故で入院中のアントニーを見舞って、叙々苑のお弁当とギャラを渡した。
そして、ハリソンルームに行った。部屋はすっかり片付いていた。ハリソンはひとりでウイスキーを飲んでいた。深夜の便で発つと。
拓海は、「後藤さんと麗子さんは?竹下さんのようになるんですか?」と聞いた。ハリソンは「二人は仕事を退くと言ってる、何らかのペナルティーがあるかもしれません」と言った。
その頃:
麗子は、谷口淑恵のアパートの外の洗濯機の上に香典の束を置いて、チャイムを鳴らして去った。麗子の後ろを男たちがついてきた。
後藤は妻と子供2人と居酒屋に来て「家族でカナダで暮らそう」と話していた。彼がトイレに行った後、男がついてきた。
拓海は、「そうやって、仲間やなりすましを殺してきたのか、俺の家族も」と言って、佐伯とハリソンが写っている写真を出した。
ハリソンは、「拓海さんの家族についてはお父さんがやったこと。拓海さんを地面師に誘ったのは偶然だった。初めて会った時直感した、この男は私と同じ種類の人間だと。その後、私が騙した男の息子さんだと知って驚いたが。私と組んで詐欺を仕掛け、いつしかそれ自体にエクスタシーを感じるようになったのでは?拓海さんは地面師なんです」と言った。
拓海は「違う、俺は地面師じゃない」と言って、ピストルをだした。長井に作らせたのだ。「あんたを殺して俺は自首する」とピストルを構えた。しかし彼を撃てない、後ろからナイフで刺された、アントニーだった。
ハリソンはアントニーをピストルで撃って殺した。
ハリソンは拓海に銃を構えて引き金を引いたが、もう弾が残っていなかった。
拓海は不気味に笑い、二人は格闘した。しかし拓海は、ハリソンにナイフで刺されて倒れた。
そこに倉持が来て、ハリソンに銃を構えた、、、しかし彼女は引き金を引けない。
ハリソンは手榴弾を拓海たちの方に落とした。拓海はそれを拾ってハリソンに向かって投げたが、、。部屋は吹っ飛び、拓海と倉持は粉々のガラスと共にそこに倒れた。ハリソンの姿はなかった。
辻本の供述で全貌が明らかになった石洋ハウス地面師詐欺事件は、112億という前代未聞の被害金額とともに、世間を震撼させた。殺人さえいとわない地面師グループの残虐性が解明された。
112億円のうち、アビルホールディングに支払われた10億は回収されたが、地面師に流れた100億は未回収のまである。
倉持は警察病院に入院中の辻本拓海を見舞った。彼は父からの手紙をテーブルに広げて眠っていた。
拓海が目覚めた。彼は、その後の進展を聞いたが、何もないと倉持は答えた。
倉持は、「地面師をやっていた5年間、どんな気持ちだったのか?」と拓海に聞いた。
拓海は「地面師の仕事は嘘を創り上げること。辻本拓海という現実から逃げて、嘘の世界を生きたかったのかもしれない。復讐は忘れなかった、でもやり続けているうちに、地面師という仕事にめり込んで行ったことは否定できない」と答えた。
倉持は「仕事じゃない、犯罪です。決して許されることのない犯罪者なんです」と。
拓海は最後に、ハリソンの行方を聞いたが、倉持は首を横に振った。
ハリソンはどこかの国で、狩りの獲物を狙っていた。
ーー完ーー
感 想
とうとう、地面師たちは石洋を罠にかけることに成功、100億をだまし取りました。しかし、最後まで生き延びたのは、拓海とハリソンだけでした。麗子さんの最後は、はっきりは語られませんでしたが。
7話の見どころの1つは、本物の川井が戻ってくるのではとハラハラしながら、偽の川井(麗子)が青柳たちにお寺を案内し、青柳をすっかり信じ込ませる場面でしたね。麗子さん迫真の演技でしたが、小池栄子さんは、”麗子が演じるなりすまし役”を演じるという二重演技で、完璧でしたね。
またこのドラマの助演男優賞は、山本耕史さんですよね。お寺の見学を断固として強行し、契約を終えた時のギラギラした高揚感と、詐欺に遭ったとわかった時の、全身の力が抜けた虚脱感、絶望、何も見えてない目、ほんとに見事でした。
ものすごく良く練られて、何一つ無駄がない脚本、映像も音楽も素晴らしいと思いました。
特に私は、最終回の拓海が最後にハリソンに会いに行くまで映像が好きでした。彼が一人で歩く街の片隅や、雨の情景が、とても素敵だなと思いました。
俳優さんたちも本当に素晴らしかったです。
綾野剛さんの長髪と髭のやさぐれ感、うって変わって、詐欺を仕掛ける相手に対峙する時の清潔で、できる会社員の雰囲気、完璧でした。
トヨエツさんのハリソン山中、めっちゃ怖かったです。残忍さが半端なくて、ついていけなくなりました😭。
こういう世界は、ドラマの中だけにしてほしいって思うけど、実際の事件を元に制作されたと思うと、改めて恐ろしいです。
面白いドラマをありがとうございました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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