新米海女のヨンオクは、双子の姉がいることを済州島の人たちには秘密にしていた。その姉が突然、島にやって来た。ベテラン海女のチュニは、息子のお嫁さんから、2週間だけ孫のウンギを預かってほしいと頼まれたが、そこにはチュニが知らない事情があった。
*ネタバレあり
第14話 ヨンオクとジョンジュン そしてヨンヒ 1
ヨンヒは、海女ヨンオクの双子の姉、ダウン症で施設で暮らしているが、掃除をしたり、カフェで働いたりと自立していた。毎日、ヨンオクに電話が掛かるのを、島の人たちは ”本土に男がいる”とか”隠し子がいる”と噂していたが、それはヨンヒからだった。
ヨンオクは、ヨンヒに「もうすぐ帰る、帰る」とウソを言い続けていた。ヨンヒは、ヨンオクにどうしても会いたくて済州島に行くことにした。
ヨンオクは、ジョンジュンとのデートの帰り、ヨンヒの施設のチャン先生から「明日、ヨンヒが済州に行くので3時に空港に迎えにきて」というメッセージを受け取った。
来てもらいたくないヨンオク、すぐにチャン先生に断りの電話を入れたが、先生は「施設の改修で、ここにいる子は1週間家に帰ることに。ヨンヒは前と違う。たくさん学んで社会性が身につき、総合失調症も治った」と言った。
落ちつかないヨンオクに、ジョンジュンから、ビデオメッセージ。♪愛してる♪と愛の歌を歌い「こんな部屋はどうですか?」と家の広告を見せ「今すぐとは言わないが、俺は結婚を前提に考えてます。おやすみなさい」と。動揺するヨンオク。
翌朝、ヨンオクは機嫌が悪い。彼女は、ジョンジュンに、潜りに行く船から「深刻に考えるなと言ったはず。結婚前提なんて重すぎる。私たち別れよう」とメールした。
その頃、ヨンヒは飛行機に乗り、済州島へ向かっていた。
漁が終わった後、ジョンジュンはヨンオクの家に向かったが、途中で彼女の車とすれ違い、Uターンした。空港に行くと聞き、彼も向かった。
〔ヨンオクのモノローグ〕
両親は画家だった。大学の時にボランティアで出会い、お互いに一目惚れで結婚。親はいなかったが、画家として前途有望な2人、幸せを祈ったが、問題が起きた。
私と”災いの子”が生まれた。両親はお金にならない画家をやめ、病気がちのヨンヒのために商売を始めた。
いつもこう言ってた。”ヨンヒが来た” のは優しい人間を探す神の審査に通ったからだ。
ありえない話だ。神のミスだ。両親は優しくて立派だが、私は違う。神からのプレゼントは重荷だった。ヨンヒと私が12歳の時、両親が死んだ。
優しい叔母の家で暮らしたが、1年で終わった。ヨンヒは特別な子だ。かなり奇妙でとても醜い。私を苦しめる。12歳の時、地下鉄に一人ヨンヒを置いて、駅に降りた。”捨てるべきだった?”優しくないのに捨てられなかった。
ヨンヒはチャン先生の施設に入った。
私は、22歳ごろ、稼ぎに行くと言って地方を点々として、だんだん遠くへと移った。この2年間は連絡しかしていない。そうすれば、ヨンヒが私を忘れるか諦めると思った。ヨンヒを甘く見てた。
ヨンオクは、空港でヨンヒを迎えて、車まで来た。そこでジョンジュンに会ったので、「姉が来たの、挨拶する?」と言った。
車の窓から顔を出したヨンヒは「ヨンオクの双子の姉」と自己紹介したが、ジョンジュンは、たどたどしく「パク・ジョンジュンと言います」とだけ言った。
「驚いた?私の双子の姉、ダウン症候群。ダウン症を知らないなら調べて」とヨンオクは彼に言って、姉を乗せて帰った。
彼はネットで調べた。
ヨンヒは「あの男とは付き合わないで。私を見て驚いた。喜んでくれなかった」とヨンオクに言った。
ヨンオクは、市場の裏、ウニたちが魚の処理をしているところに来た。ヨンヒがトイレに行くたくなったから。
車から出てきたヨンヒを見て、みんなは驚いた。「双子の姉のヨンヒです」とヨンオクは彼女を紹介した。
一人の女性が差別的な発言をしたが、他の人が意見して、その女の人は怒って帰った。
ヨンヒが出てきた時、ウニが「こんにちは。ヨンオクと同居してます」と挨拶し、チュニさんが「こっちに」と呼んで、ヨンヒはみんなの輪に入り、手伝いをすると言った。
そこに、ジョンジュンが戻ってきた。彼はヨンヒのところに来て、再度自分の名前を言って「ヨンオクさんの彼氏です。よろしく」と言った。ヨンヒはまだ気に入らない。
ヨンオクはジョンジュンと話した。
「深刻にならず楽しく付き合いたかったのに、結婚?つまらなくなったわ。別れましょ」と。
「分かった、”家を買う、結婚” 二度と言わない。確かにヨンヒさんには驚いた。ダウン症候群の人を初めて見たんだ。傷つけたなら謝る。二度と傷つけない。別れるっていうな。互いに愛してる」と彼は言った。
「ヨンヒを見ても付き合おうと言える?」
「ああ、だんだん親しくなればいい。別れる理由にならない」
「両親は私たちが12歳の時に死んだの。ヨンヒが死ぬまで私が面倒を見なくちゃいけない」というヨンオクの話を真剣に聞き、無言で頷くジョンジュン。
「みんな最初は一緒よ」と彼女は歴代の彼氏の名前を言い「そのたびにすごく傷ついた。あなたは元彼と違うと断言できる?私を愛しながら、ヨンヒを家族として永遠に受け入れられる?」
「ああ、俺は他の男と違う。死んでもヨンオクさんを放さない。見てろ、どれほど愛してるか」とヨンオクの手を強く握って歩いた。
感 想
初回から、ヨンオクさんにずっと電話がかかってきていたのは、双子のお姉さんのヨンヒさんからだったんですね。12歳で両親が亡くなり、障害を持った姉と二人だけ残され、筆舌に尽くし難い思いで生きてきたヨンオクさん。そして姉から逃げるように、各地を転々とし、2年前から済州島に辿り着いたということですね。
ジョンジュンの愛は揺るがない、今までの男たちとは違うと彼は自信を持って言いました。
ウニさん、チュニさん、オクドンさん(ドンソクのお母さん)、へジャさん(初めヨンオクを敵視してた海女さんだけど、事情を知ってから味方に)、みんな優しいです。
第14話 ヨンオクとジョンジュン そしてヨンヒ 2
翌日、ジョンジュンは、ヨンヒのために刺身を買い、家を建てているドンソクに会いに寄った。ヨンオクの姉が障害者だと話し、両親が反対するかも、と言うと、ドンソクに「反対されたら別れる?」と聞かれ「別れない」と答えた。ドンソクは「それなら何も問題ない。親父さんに一発か二発殴られて終わりだ」と言った。
キジュンは、ビョリに「話をしよう」と手話で言ったが、なぜ手話で、とビョリは怒って行こうとした。彼は、彼女の前に立ち「付き合おう、お前が好きなんだ」と言ったが「私も好きにならないと?障害者だから?」と行ってしまった。
夜、プルンで、ヨンオク、ジュンジョン、ウニ、ダリは、ヨンヒと一緒に、ゲームをしたり、星を見たり、ビールを飲んでダンスをして楽しんでいた。
ヨンオクが、ジュンジョンに「あまり優しくしないで。7歳児の知能だけど、愛する喜びや愛される喜び、裏切られた気持ちや憎悪、親のいない寂しさや障害のある悲しみも全部わかってる。施設に戻ったら私を忘れる程度に、ほどほどに接してる。より傷つけないためなの」と言った。
しかしジョンジュンは、仕事は1週間休んで、ヨンヒと時間を過ごすつもりだ。
ヨンヒは、ウニたちの写真を撮っていた。ヨンオクは「もういい、帰ろう」とヨンヒを急かせ、携帯を取り上げようとしたが、ヨンヒは、これがないと絵が描けないからと拒んだ。
「信じてないでしょ。ママとパパみたいに描けること、私が画家だってこと。あ、あんたは私を捨てたよね、地下鉄で」と言って怒って出て行った。ウニたちは驚いた。
ヨンオクは3人に「最近、嘘を言うの。絵は描けないから期待しないで」と言って後を追った。
家に戻り、ヨンオクは「なぜあんなに怒ったの。22歳まで施設で一緒に暮らしたでしょ。ほんとに絵が描けるか確かめるわ」とステッチブックを見ようとしたが、ヨンヒはそれを抱き抱えてベッドに入った。
「絵を習ってもないのにどうして描けるの?」とヨンオクが聞くと、「赤ん坊の頃にママとパパからお、教えてもらった」とヨンヒは言った。「おやすみ。それから昔、地下鉄でごめんね」とヨンオクは小さな声で謝った。
ヨンヒは夜中に起き出して、寝ているヨンオクの絵を描いていた。
翌朝、機嫌のいいヨンヒ。海女仲間と潜りに行くヨンオクに「たくさん稼いで、私に整形手術を受けさせて」と言って、みんなを笑顔にした。
ジョンジュンは、ヨンヒを携帯の店に連れて行って、最新型を買ってあげ、昨日ヨンヒが撮った写真を新しい携帯に移してもらった。
2人は、プルンで話した、ビールを飲みながら。ヨンヒは編み物をしている。
「ヨンオクさんはいい人だから好き」と言うジョンジュンに、ヨンヒは「よく言うわ。セクシーで可愛いから好きなくせに」と。「心がきれいだから」と言うジョンジュンに、「私も心がきれいなのになぜ男がいないの?」と聞くヨンヒ。
「俺みたいないい男が現れるよ。恋がしたいの?」
「もちろん、化粧もきれいにして、魅力的になりたい。キスもしてみたい。ヨンオクは私の自慢の妹よ。あんたはすごくいい人ね。私と遊んでくれるし」と編み物の手を休めずに言う。
「それが欲しいな」とジョンジュンが編み物をさして言うと、「だめ、ヨンオクのだから」とヨンヒは言った。
その後、ヨンヒは家で絵を描いた。
ヨンオクとジョンジュンは、画材点に行き、ジョンジュンは絵の具を買った。
二人はお茶に行った。ヨンオクは「別れた時、悪く言われるのは船長よ。障害者の姉を持つ女を捨てたと」と人の目を気にしたが、船長は全く気にしない。
夜、ヨンヒはまた起き出し、ジョンジュンが買ってくれた絵の具を使って絵の続きを描いた。
翌日、良いお天気の日。
島の人たちが、ヨンヒに順番に写真を撮ってもらった。絵を描いてもらうために。
ヨンオクは、オクドンさんとチュニさんに「ヨンヒは絵が描けません。絵が得意と言えば興味を持たれるから」言ったが、二人は「下手でもいいから描いてみてと伝えて」と携帯に入っている子供と孫の写真を見せた。「送ったけど、期待しないでください」とヨンオクは言った。
「何を期待しろというの。今まで期待などしたこともない。ただ受け入れるだけ」とチュニさんは言い、オクドンさんと歩いた。
ヨンヒは、海岸で、ジョンジュンとヨンオクの写真を撮り、ジョンジュンが、ヨンオクとヨンヒの写真を撮った。
ヨンヒは、海を見ながら一人で座っているヨンオクの写真を撮り、「海に入るのが好き?」と聞いた。「うん、海では1人きりだから」というヨンオクに「海には私がいないから好き?」とヨンヒは聞いた。
「ステーキを食べに行こう」とヨンオクはそれには答えず、ジョンジュンに声をかけた。
ジョンジュン、ヨンオク、ヨンヒの3人でステーキを食べに行った。
隣の席に、3ー4歳の男の子を連れた親子がいた。男の子がヨンヒを見てからかった。ヨンオクが、両親に、からかうのやめるように言ってください、と頼んだが、親はめんどくさそうに注意し、男の子が怒って外に行き、親たちは大袈裟にため息をつき、、、食事の雰囲気が台無しになった。
3人は外に出た。ヨンオクは怒って一人先に歩いた。ジョンジュンはヨンヒと手を繋いで後から歩いていた。「ここに住もうかな、船長」とヨンヒが言うと、ヨンオクが振り返り「何言ってるの。約束通り明日飛行機で施設に戻るの」と怒った。
夜、ヨンヒは、外で毛布をかぶって絵を描いていた。ヨンオクが怒っているから。
ジョンジュンはヨンオクに「後3日ほど一緒にいて、旅行でも?」と話しかけた。
ヨンオクは怒り「今日のことは大したことない。もっともっと大変な目に遭ってきた。一緒に住まなければ薄情と言われ、一緒にいれば嫌な目にあう。ヨンヒも感情があるから、私が20年以上前に捨てたことを覚えてる。私がわずらしいと思っているのを知ってる、だから寒いの外にいるの。この言葉も全て聞いてる。でも私はヨンヒは感情もなく頭も悪いから理解できないはずと思い込むの、、、」泣きながら言うヨンオクを、ジョンジュンは抱きしめた。
ヨンヒは外で、泣きながら絵を描いていた。
「悔しい。なぜ私にあんな姉がいるの。なぜ優しくもない私に。でも、私でもこうなのに、本人はどんなに悔しいか、、」ヨンオクは言った。
ジョンジュンはヨンヒを自分の住まいのバスに連れて来た。二人でビールを飲んだ。ヨンヒは、スケッチブックを2冊だし「私の絵よ」と渡し、「ヨンオクは喜ぶかな」と。
彼は1枚1枚めくり、絵を丁寧に見た。
「うまく描けてる?」と聞くヨンヒ。「ものすごくね」とジョンジュンは言った。
「寂しい時に描いたの。ヨンオクに会いたくなる度に。ヨンオクに喜んでほしい」とヨンヒ。
ジョンジュンは、絵にタイトルがないね、と言い、ヨンヒは全ての絵に ”名前とタイトル”を書いた。
ジョンジュンは「画家なら落款印がないと」と、”鳥”を彫ってあげた。
翌朝、ヨンヒは荷造りをして、早くから外で待っていた。昨夜は帰らないと言ってたのに。
携帯の自分の写真にお化粧をして可愛くしてたら、ジョンジュンが来た。携帯の待受は、ヨンオクとジョンジュンの写真。
空港での別れ際、ヨンヒは、編み上がった白いマフラーをヨンオクの首に巻いてあげ、振り返り「バイバイ、船長と私の可愛い妹」と手を振った。
ジョンジュンは、ヨンオクを自分のバスに連れて行った。「コーヒーを買うから入ってて」とヨンオク一人を先にバスに入れた。
ヨンオクは中に入りカーテンを開けた。
明るくなった中には、洗濯ばさみで吊るされた絵、絵、絵、、。
”チュニさん” ”オクドンさん” ”ウニさん” ”イングォンさん、ホシクさん、ヨンジュ、ヒョン” ”ダリ” ”ビョリ” ”キジュン” ”ヘジャさん” ”チュニさんの孫、ウンギの家族”
そして、ヨンオクの12歳から38歳まで(済州島の家のベッドで寝ている絵)、13枚もの絵があった。
”ママ、パパ、ヨンオク、ヨンヒ” 家族の絵
そして、カラーの絵が4枚、海で撮った写真の絵。
”ヨンヒとヨンオクはお互いが大好き” (ヨンヒとヨンオクが抱き合ってる絵)
”ヨンオクとジョンジュンはラブラブ” (ヨンオクとジョンジュンが抱き合ってる絵)
〔ヨンオクのモノローグ〕
あとでヨンヒに尋ねた。なぜ絵が上手くなったのかと。
ヨンヒが言った。私に会いたくて寂しくなる度に絵を描いていたら上手になったと。
私は言葉が出なかった。どれだけ寂しくてどれほど恋しければ、ここまで上手に描けるようになるのか。私は知りたくなかった。
”ヨンオクはヨンヒのいない海が好きだ” (1人で海を見ているヨンオクの絵)
”姉のヨンヒは妹のヨンオクが大好きだ” (1人で海を見てるヨンオクを少し離れて見てるヨンヒの絵)
感 想
ヨンヒさんがだんだん、だんだんと可愛らしく、愛らしくなって、、、。
7歳の知能だから数字には弱いのかもしれないけれど、感受性、感情は全てわかるのですね。
ヨンヒさんが、島の人たちと仲良くなって、写真を撮る場面、良かったです!海、景色、光が美しすぎて、島の人たちみんなが輝いていた。ヨンヒさんがこの時に着ている洋服がとても素敵で、よく似合ってました。
ヨンヒさんとジョンジュンのプルンでの会話、彼にバスで絵を見せる場面、最高でした。
ヨンオクさんが順番に絵を見ていくと、写真を撮った島の人たちみんなの絵と、チュニさんたちが頼んだ孫の家族の絵もありましたね、ほんとに見事です。
そして、家族4人の絵、ヨンオクの12歳から38歳までの絵と、最後の4枚のカラーの絵、、心を揺さぶられずにはいられなせん(涙、涙、、、)
大好きな妹、ヨンオクさんに編み上げた白いマフラーを巻いてあげ、笑顔で帰って行ったヨンヒさん、愛しかありません。
第16話 チュニとウンギ 1
ウンギはパパが大好き。
キャンプで、夜パパは空の星を見て、死んだ猫や金魚も星になったとウンギに話した。
「じゃあ、パパやママや私が死んでも星になる?」と聞くと、
「その通りだ。ウンギや、あの星は、パパの兄さんたちだ。双子の兄さん2人と3番目の兄さん。それからあれはウンギのおじいちゃんの星だ」と指さして言った。
「来年、済州に連れていく」パパが言うと「月が100個あって、100個の願いが叶うところでしょ」とウンギ。
「済州に世界で一番強い チュニおばあちゃんがいる。パパみたいな男の人も海から何人も救ったんだ。おばあちゃんは、済州でも海でも大ボスだ」とパパはウンギに言った。
「済州に行きたいな。パパは月の船に乗って私は月を100個見て おばあちゃんにも会う」とウンギは思った。
大好きなパパは、大型トラックで仕事に行った。ウンギは「パパ、いかないで」と泣いた。
「ウンギや、30日後に戻ってくる」とパパは笑顔で言って出かけた。
ーーだが、パパ(マンス)は交通事故にあい、入院ーーー
妻は夫の面倒を見るため、スーパーを辞め、昼間は食堂、夜はコンビニで働くことにし、ウンギを2週間、済州のチュニに預けることにした。
妻は、マンスの事故のことを、チュニに知らせていなかった。
「あの歳まで海女をして、自分たちが島に来たら、家、船、車を買ってくれると言う義母。お義父様とマンスさんの3人のお兄さんを亡くして、たった1人の残った息子が事故で1ヶ月も意識不明だと言えるわけない」と。
妻は、ウンギを連れて済州に来た。ウンギに「おばあちゃんからパパのことを聞かれたら、”黄海のペンニョン島に仕事に行ってる”と答えるように」と念を押し「10日と4日寝たら、パパとママが迎えに行くわ」と約束した。
チュニさんは、オクドンさんと手を繋いで歩いていた。
「早く迎えに来て、と祈って」と言うオクドンさんに、チュニさんは「祈りなんか通じなかった。オクドンさんも私も夫と子供たちに先立たれたわ」と言った。
「年をとって運が開けたわね。マンスもお嫁さんも優しいし孫も来るなんて。あなたは笑顔で生きてね」とオクドンさんは言った。
家に戻ると、ウンギが来ていた。
お嫁さんは家の掃除をしながら「来年は、私たちと一緒に暮らしましょ」とチュニさんに話した。
お嫁さんは「14日だけウンギをお願いします、マンスさんはペンニョン島で数ヶ月仕事があり、私もスーパーで認められて主任になります。仕事に慣れるまでお願いします」と言った。
チュニさんは「ウンギが寝てる間に行って」とお嫁さんにお小遣いを渡した。お嫁さんは涙ぐんでもらった。
チュニさんとオクドンさんは、ウンギの寝顔を愛おしそうに見つめていた。
そして、ウンギとチュニさんの日々(戦いの?)が始まった。
目覚めたウンギは「ママ、ママ、、、」と泣きじゃくる。
チュニさんとオクドンさんは、からかったり、叱ったり、優しくてなだめたり、、。
ウンギは、いつでもママから電話に出られるように、携帯を首から吊るしていた。
ウンギは、「パパが、おばあちゃんを大ボスだと言ってた」とチュニさんに話した。
翌朝、テーブルを出して拭いて、手伝うウンギだが、、、
チュニさんの”魚のスープ”を見て「魚は嫌い、目が怖い」と言い、チュニさんが別のものを食べさせたら、口から吐き「魚は焼いて!」と注文。
焼いた魚を見て「焦げてる。焦げたのは体に悪いからとママが食べるなと」と言い、「ソーセージ、目玉焼き、鶏肉、、、」と泣いた。
怒ったチュニさん「ふざけたことを。もう食べないで」と。ママに電話しようとするウンギに「言うことを聞かなから、来るなと言わないと」と言った。
一緒に歩いていると「歩けない」と道に座り込み「肩車して」と言うウンギに、チュニさん、まじギレ(笑)「6歳にもなってわがままばかり。両親は迎えに来ない」と歩き出す。「おばあちゃん」と走ってきて一緒に歩いた。
市場にウンギを連れて行き、いつもの場所、オクドンさんとの間に座らせた。
向かいのお婆さんたちが、ウンギに気づいて噂話を。
「お嫁さんが少しの間、預けてるそうよ」と聞いた一人が「あそこの孫、母親が2週間だけ預けに来たけど、もう1年経つ。母親に捨てられた」と言い、ウンギは「ウチのママは違うもん」と泣いた。
「孫の前でなんてことを。だから子供が会いにこない」を怒るチュニさんに、「あんたはどうなの?旦那だけじゃなく子供まで全員死ぬなんて、不幸な人生ね」と罵倒した。「マンスがいるわ。このクソ女め」と怒鳴るチュニさん。オクドンさんが、ウンギを連れて帰ってとチュニさんに言った。
ウンギを連れて外に出たチュニさん、露天で商売してるドンソクに肩車を頼んだが、そこにきたホシクが「マンスの娘だ!」とウンギを肩車し市場の中を練り歩いた。次にイングォン、そして、ジョンジュンと次々に肩車をしてもらうウンギ。
ウンギは、ビョリとダリに髪を結んでもらっていた。
名前が、”星” と ”月” と聞いて、月も星も大好きなの、とウンギは言った。
チュニさんは、マンスから1ヶ月以上も連絡がないことを心配して、何かおかしいとオクドンさんに相談した。ウンギを預けたのは、奥さんに男ができたのかと怪しんでいた。オクドンさんから、聞けばいいと言われた。
その夜、オクドンさんはチュニさんの家に泊まり、ウンギを真ん中に横になった。
「ヘソンさん(お嫁さん)に電話したら」と言われて、チュニさんが電話したが出ない。ウンギの電話からも掛けたが、出ない、、。
最後の手段、ウニさんに「木浦のスーパーで、オ・ヘソンを見つけて私に連絡するように伝えて」と電話した。ウニさんが調べて電話してきたが、ヘソンがスーパーを辞めていたことがわかった。
「できた嫁だったのに、娘を捨ててどこへ?」と途方に暮れるチュニさん、、。
その頃、お嫁さんは、病院で、緊急処置をしてもらっている夫を見ていた、、、。
感 想
なんということでしょう。
マンスさん、ヘソンさん、ウンギの3人の幸せな家族。パパのことが大好きで、パパの話す済州とおばあちゃんが大好きなウンギ、、、
その幸せな場面を最初にたくさん見せてもらった後の、ヨンスさんの交通事故。それも1ヶ月も意識不明って、、。
すごく良くできたお嫁さんは、夫と3人の息子を亡くしている義母のチュニさんに、マンスさんの事故のことを言うことができずに、娘を2週間預けに来た。
本当の事情を知らないチュニさんは、ウンギを預かったが、だんだんとおかしい、と思ってくる。
それにしても、市場で「母親に捨てられた」とか「夫も子供も全員死んだ」というおばさんには、本当にびっくりというか、引きました、、こんな酷いことを面と向かって言う人がいるのかと、、。
マンスさんにもお嫁さんにも連絡がつかない、チュニさんの戸惑い不安は、いかばかりでしょう。
今日、17話を見る前に、16話のあらすじと感想をアップしておきます。
どうかどうか、マンスさんが助かりますように、、、チュニさんの息子さんが生き延びますようにと祈らずにはいられません。
第17話 チュニとウンギ 2
翌朝、チュニさんは、ウンギのために、卵とウインナーと鶏肉の朝ごはんを用意した。まだ機嫌が悪いウンギに、朝ごはんを食べたらイルカを見に連れて行ってあげる、とチュニさんは言った。
ヘソンからチュニさんに、昨夜は忙しくて電話が取れなかったと連絡があった。
ウンギは、昨日ケンカした女の子と外で遊んでいた。ウンギが「パパが病院から戻ったら、月が100個あるところに連れて行ってくれる」と話しているのを、オクドンさんが聞いていた。
オクドンさんは「パパは病院にいるの?」とウンギに聞いた。そこにチュニさんが迎えに来た。ウンギは「パパは山に木を切りに行ったもん。木浦の病院になんかいないし、頭も足もケガしていない」と泣いた。驚いたチュニさんはウンギを連れて帰った。
オクドンさんは、いつもの通り、石を1つ積み上げた。
ウニに薬局に連れて行ってもらった。薬をもらったウニは、オクドンさんの病気を知り「ドンソクには言わないと」と怒って言った、心配しすぎて。
「もう十分生きたわ。若い人も死ぬのよ、年老いて死ぬのはなんてことない。それはそうとあの雲は本当に羊みたいね」と車から雲を見て無邪気に言った。
チュニさんは、フェリーに乗って、木浦へ。ヘソンが働いているはずのスーパーに行ったが「ご主人が事故で入院して辞めました」と言われた。病院名を聞き、駆けつけたチュニさん、マンスは集中治療室にいた。
面接は30分と言われて、管で繋がれ意識のない息子と対面するチュニさん。
ヘソンは、チュニさんを病院で見かけて、集中治療室に入ってきた。
「1ヶ月と少しになります。仕事に向かう途中で、猛スピードのトラックに激突されました。最初から意識不明でした。マンスさんは母親思いの人です。意識はないがずいぶん良くなったんです。すぐ目が覚めます」と静かに言った。チュニさんは「それは医師とあなたどっちの考え?」と聞いた。黙っているヘソンに、「あんたなのね」とチュニさん。
「来週 娘を迎えに行きます」というヘソンに、チュニさんは貯金通帳と印鑑を渡し「医者の言うとおりに。呼吸器を外そうと言われたら外して。ウンギも迎えに来ないで」と言ってタクシーに乗った。そこで初めて泣くチュニさん、、、。
ウンギは、ジョンジュンたちにイルカを見に連れて行ってもらった。その日は、ウニの家に泊まることになった。
ウンギは絵を描いていた。ヨンオクが側で見て「上手ね。私の姉も画家なのよ(ヨンヒさーん!)」と言った。空に月をたくさん描いている。「月にお願いしてるの。パパが知ってる所に月が100個あるんだって。そこで100個の願いが一度にかなうの」と話すウンギ。
ウニは何も言わずにお酒を飲んでいた。ヨンオクに「子供の前でお酒?」と言われたけれど、、。
3人並んで寝た。出来上がった絵が、机の上に置いてあった。
チュニさんが夜遅くに済州に戻った。オクドンさんが外で待っていた。
「マンスは?」
「息は機械がないとできないし、私のことも分からない。私は子供と一緒に生きていけない運命なのね。ウンギの母親にマンスを見送れと言ったわ」チュニさんは後ろを向いて言い、家に向かって歩いた。
オクドンさんは、何も言わずに家に向かって歩いた、、、。そして、突然、泣いた、、、。
翌朝、海女さんたちが海に行くのを、チュニさんとウンギとオクドンさんが見送った。
ウニが来て、4人はチュニさんの家に。
子供たちとチュニさんが遊ぶ側で、事情を聞いたウニ。チュニさんが可哀想でどうすればいいのか分からなかった。
その夜から嵐になり、翌日の朝になっても激しい雨と風が続いた。
朝、大雨の中、オクドンさんは野良犬と野良猫のためにご飯を作って、犬小屋に入れた。いつも場所に来たが、積み上げた石を崩した、、、泣いて、、、また戻って石を積み上げた。
そして、チュニさんの家に来た。
ヘソンからチュニさんに電話があった。「悪天候で、船は出なし飛行機も飛ばない。明日の朝行くわ」と言ってチュニさんは電話を切った。
「マンスが逝こうとしてる。今夜が山だと。医者が家族を呼んでるって。明日の朝行くわ、、こんなひどい運命がある、、、」とチュニさんは泣いた。
チュニさんとオクドンさんとウンギ。
ウンギは、家の中に飾ってあるたくさんの写真を指差して、誰かと聞いた。
「おじいちゃん、パパのお兄さんたちよ、みんな死んだ」とチュニさんが言うと、ウンギは、「みんなポッポ(ワンコ)みたいに星になったんだね。パパが言ってた、動物も人も死んだら星になるから悲しまなくていいと」とウンギ。
「ばからしい。星なんかじゃなく、土やチリになるだけ。死んだら終わりよ」とチュニさんが冷たく言うと、ウンギは「違うもん、星になったとパパが言ってたもん」と泣いた。
チュニさんは、怒った。
「だったら何なの、触れることも抱くこともできないのに」
ウンギは泣きながら「今日迎えに来てもらう」と荷物をまとめ電話をかけようとした。チュニさんは携帯と荷物を取り上げ、雨の降る外に放り投げた。
「これからあんたはわたしと暮らすの。パパは退院できずに土になるから。ママとパパが迎えにくると言ったのも全部ウソよ、、」と泣くチュニさん、「そんなのウソだ、パパ、ママ迎えに来て」泣くウンギ、、、
夜、再び激しい風と大波。
ご飯を食べないウンギにチュニさんは、どうすればご飯を食べる?と聞いた。
「月100個。願いを叶えてくれる月100個。パパを治してと100回お願いするの」
「まず食べて。それから月100個を見に行こう」とチュニさん。
ウンギは、ご飯を食べ出した。
チュニさんは誰かに電話をかけた。
プルンでは、ジョンジュンが、船を出してくれるように、と電話をかけまくっていた。
こんな天気に、転覆するぞ、と断られながら、、、。
ウニとホシクとイングゥンも店に来た。
事情を聞いたウニは、船を出してくれるようにと電話をかけまくった。
「雨の日に船を出せと言えない」と言うホシクとイングォンに、「チュニさんによるとこの雨はすぐやむって。船を出せとみんなに声をかけて」とウニは怒鳴った。
「船を出して、マンスが助からきゃ、ウンギが、がっかりする」というホシクやヨンオクたちに、ジョンジュンは「その時はその時。俺はイ船長と船を出す」と言い、ウニに「丘に向かって」と言った。
ウニが、チュニさん、ウンギ、オクドンさんを迎えに行く頃には、雨が止んだ。
ウニは、携帯で灯りをつけて、ウンギの手を引いて丘に向かった。チュニさんとオクドンさんも後に続いた。
ジョンジュンが港に着くと、たくさんの船が出港するために待機していた。
4人は丘の上に着いた。
夜の海と街の灯。
月は見えない、、、ウンギがチュニさんを振り向き、、、もう一度海を見ると、、
月が1個2個3個、、10個、20個、50個、100個、、、数えきれない月が浮かんでいた。それは、ウンが描いた絵と同じだった。
「パパ、月が本当に100個あるよ。パパの言うとおりだった、、」と泣いてひざまづき、手を合わせて「パパ、早くよくなって。早く元気になって」と祈った。
オクドンさんもひざまづき、、ウニさんのひざまづき、、祈った。
最後に、チュニさんが、ひざまづき、、、祈った。
感 想
昨日、17話を見て、泣きすぎて、、、あらすじを書く気力がありませんでした(笑)
今日、また初めから見はじめると、どの場面も、セリフも、そして何も語られない場面も、何一つ無駄がなく、また泣き通しになってしまいました。
オクドンさんの病気を知って、心配のあまり不機嫌になってしまうウニさん、その車に乗りながら、雲を見て「あの雲、本当に羊みたいね」と無邪気に言うオクドンさん、こういう場面にもグッときます。
木浦から夜遅くに帰ったチュニさんから、マンスさんのことを聞いたオクドンさんが何も言わずに少し歩いてから、、、急に泣く場面に、やられてしまいました。すっと前触れもなく泣く、胸を掴まれたように、嗚咽してしまいました。
オクドンさんとチュニさん、2人の大女優の存在感たるや、そして、その大女優2人を前に、子役のウンギちゃんのすごいこと、、。
ウニさんの情の厚さ、、ジョンジュン船長の男前さ、、、
月100個、16話の最初のキャンプでパパがウンギにしたお話を、具現化した済州島の船長たちと、映像、そういうことなのかと感嘆です。
ウンギ、チュニさん、オクドンさん、ウニさん、済州島の島の人たちの祈りが、天に届いたと思います。
18話〜最終回までは以下でまとめています。
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